歴史好き必見!生月島番外編~島の館・ガスパル様~
長崎絶景ソラ旅シリーズ!
前回は生月島の隠れた名所を紹介しましたが、今回は番外編をお届けします。
生月町博物館「島の館」へお邪魔したら、捕鯨にカクレキリシタン…奥深い歴史を知ることができました。
生月(いきつき)に行くなら必見です!
掲載日:2021年10月13日
ライター:朝永武志
生月大橋を渡るとすぐ!
生月大橋を渡ってすぐ左へ曲がると、生月町博物館「島の館」に到着します。
橋を渡るときに見える「道の駅」の奥にあり、目の前の海岸で遊んで、道の駅でお土産を買うこともできる便利な立地です。
かつて捕鯨の町として栄えた「生月島」
「島の館」の敷地内に入ると飛び込んでくるのはセミクジラの像!
なかなかに大きい!しかし何故クジラ?
生月はもともと捕鯨の盛んな島だったのです。
入口付近には捕鯨船のスクリュー等の実物も展示されています。
博物館の中へと入ってみましょう!
通路からすぐにクジラの紹介がはじまります。
生月には主にセミクジラがやってきていた、背中にヒレ等が無くキレイに見えたことから「背美鯨」と呼ばれていたそうです。
では本命の「勇魚(いさな)とりの物語」を見てみましょう。
※「勇魚」とは、「鯨」の古い呼び方です。
巨大ジオラマが迫力満点!勇魚とりの物語
展示室へ入ると目に飛び込んで来るのは巨大なジオラマ!
当時の捕鯨シーンを再現したもので、捕鯨の際の役割分担などが模型を見る事で分かりやすく作られています。
実際はもっと多くの船で鯨を取り囲んで漁がおこなわれ、まさに「鯨と人間の戦い」という状況だったそう!
鯨を牽引する為の鉤(かぎ)を打つのは人の手だったんです!
また、ジオラマから目を上へ向けると、驚くほど巨大なミンククジラとツチクジラの骨格標本が飛び込んできます!
いや~本当に大きい!
生月の益富組
益冨(ますとみ)捕鯨は、1820年頃(文政年間)には、5つの鯨組を経営するほどに拡大し、 西海のみならず日本最大の規模を誇る鯨組へと発展しました。
益富家から貴重な資料「勇魚取絵詞(いさなとりえことば)」も展示されています。
生月島の鯨取りの様子を紹介した 「勇魚取絵詞」は、1832年(天保3)に益冨家が刊行したもので、漁場や施設の紹介から、網をかけて銛(もり)を突き刺す捕鯨の様子、 解体や加工の過程など20の場面を絵と解説文で描いたもので、とても貴重な資料です。(写真撮影禁止エリア)
生月の益富組はとくに規模が大きく、全盛時には作業員三千余名、舟は二百余隻、毎年二百余頭の鯨を捕獲したということです。(諸説あり)
他にも江戸から現代までの捕鯨に関わる道具や鯨の頭骨(本物)、漁に使う用具の展示もあり、とても勉強になりました。
日本一の巨漢力士!生月鯨太左衛門
そして生月島出身で日本一の巨漢力士として知られる生月鯨太左衛門(いきつきけいたざえもん)について紹介するコーナーもあります。
彼がまたデカい!!なんと身長227㎝!
実寸サイズの生月鯨太左衛門と一緒に記念写真を撮ったり、手のひらのサイズを比べてみてはいかがですか?
カクレキリシタンの貴重な資料も展示
生月島のある平戸市は、フランシスコ・ザビエルが布教のために訪れた地。
1558年と1565年に行われた一斉改宗によって生月島や平戸島の西海岸に多くのカトリック信者を得ますが、江戸時代に入ると相次ぐ弾圧で多くの犠牲者(殉教者)を出します。
厳しい弾圧の中にあっても、信者たちは進行を密かに続け、伝えていきました。
今も島に残る信仰の姿はとても独特です。
口伝だけで伝承される「オラショ」という祈り
よく見る西洋画とは全く違う「ちょんまげ姿のヨハネ」の聖画……
中には「伝言ゲーム」の様に書き換えの度に少しずつ変わっていった聖画も多く見られます。
それもそのはず、激しい弾圧を受けたキリシタンは、仏教や神道に擬態したかたちで密かに信仰を守り続けていきました。
表向きは仏壇や神棚を設置しながら、納戸にキリスト教の聖画像を隠して祀ったのです。
禁教が解かれてからその信仰形態を守る人々は「カクレキリシタン」と呼ばれ、カトリックとは違う独自の信仰を、今もなお平戸の西、生月島で受け継がれています。
不定期ですが、島の館では今も島で信仰を受け継ぐカクレキリシタン信者によるオラショの特別講演も行われています。
島の館公式サイトのお知らせをご確認ください。
魚と漁業の展示室「フィッシャーマンズアリーナ」
島の館の最後のコーナーである「フィッシャーマンズアリーナ」
こちらでは自分が定置網に入っているような雰囲気の中で展示物を見学しながら漁について学べます。
様々な魚の剥製が多く展示してあり、大きさや色、形に至るまで、詳細に観察できます。
他にも色々な漁の手法について分かりやすく模型で解説してありますよ。
珍しい商品を発掘しよう!お土産コーナー
博物館のミュージアムショップはフリーゾーンなので、どなたでも立ち寄ることができます。
定番のぬいぐるみやキーホルダーはもちろん、「世界文化遺産関連商品」や「鯨グッズ」も多数揃えてありました。
なかでも、くじら髭を使った商品は珍しい!
捕鯨に焦点を当てた珍しい博物館です。
是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
黒瀬の辻殉教地・ガスパル様
島の館から少し港側へ。
生月島の中ほどにある山田教会からほど近い丘に十字架が見えます。
ここは1558年にガスパル・ヴィレラ神父が、生月で最初にキリスト教の布教を行い十字架を建てた場所。
そして1609年、生月で最初の殉教者となったガスパル(洗礼名)西玄可の殉教の地でもあります。
1993年、彼の墓のそばの黒瀬の辻(黒瀬=クルス、元々十字架が建てられ祀られていた場所)に、再び大きな十字架が建てられ、クルスの丘公園として整備されました。
この場所から世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つ「中江ノ島」を望むことができます。
※島へは上陸できません。
神聖なこの地で
旅の最後に思いを馳せてみるのも良いのではないでしょうか・・・。
この記事を書いた人
#ナガサキタビブ 部員(公式ライター)
ドローン撮影で、ダイナミックな景色を見せます!
佐世保を拠点に、写真や動画を地上だけではなく上空からも撮影しながら活動しております。 四季折々の地元の名所を、色々な角度から切り取りお伝え出来れば!と思います。