【五島列島】日本版ストーンヘンジ!?長崎県の離島で王位石(おえいし)トレッキング体験(後編)
今回は長崎県の離島、野崎(のざき)島にある不思議なパワースポット・王位石へ向かうトレッキングツアーに参加してきました。
山に入り、森を抜けた先に待っていたものは…
掲載日:2023年12月11日
ライター:Miyako
自然の中に佇む社。沖ノ神嶋神社(おきのこうじまじんじゃ)に到着
ビジターセンターから二時間ほど歩いて、沖ノ神嶋神社に到着。
自然の中を歩き続けてきて、やっと出会える絶景と野崎島の神様。
こちらの主祭神は神島大明神、神功皇后の三韓征伐に従った「一速王(いちはやおう)」で、日本神話に登場するヤマトタケルノミコトの子の一人です。
海に向かって建てられた社殿は対岸の小値賀島にある地ノ神島(ぢのこうじま)神社と向かいあう形となっており、上から小値賀島と海を見下ろすように見守っています。
沖ノ神嶋神社と地ノ神島神社は創建当時は一つの社でしたが、ある時期を境に二つの社に分かれたと言われています。
お互い神社の海辺には鳥居が向き合っており、海を経て参道がつながっているとも言われています。
海上交通の守り神として、かつてここを通ったという遣唐使船や貿易船などの航海の安全を見守ってきた沖ノ神嶋神社。
社殿はこの数日前に、年に数回県外から来てくださるという神主さんが神事と清掃をされており、きれいでした。
社殿の石垣下に見える石段は20年ほど前まで祭り事を行っていた際に、下に船を停め、海側にある鳥居をくぐり、参道として使っていたとのこと。
2001年にほぼ無人島になってから、ボランティアで来てくださる神主さんや有志の方、トレッキングツアーで来た観光客くらいしか神社に来ることがなくなり、かつてのようにここへ来て祈る人が減ってしまったといいます。
地方で過疎化が進む中、こうした神社は今後も増えていくのかもしれません。
トレッキングツアーでこちらに来た場合は休憩も取りつつ、ガイドさんのお話を聞きながら、ぜひゆっくり参拝を。
やっとのことでたどり着いた奇石のパワースポット!王位石(おえいし)
神社での参拝を済ませたら、少し斜面を登り、社殿の後方にある鳥居型の巨石「王位石」へ。
イギリスのストーンヘンジのような高さ24mの鳥居型の巨石がそびえたっています。
様々な伝説があり、人工的に造られたものなのか、自然にできたものなのか定かではありません。
沖ノ神嶋神社が創建される前の太古の昔からここに存在していたと考えられ、上に載っている石は5mx3mという大きなもので、かつては祭祀場としてここで人が舞などを奉納していたとも言われています。
沖ノ神嶋神社のご神体ともいえるこの王位石は、野崎島民をはじめ小値賀本島の人々からも古代より崇められてきた聖なる場所。
神秘的な謎の存在として今もひっそりと山の中に佇み、圧倒的な存在感を放っています。
方位磁石が狂うゼロ磁場が存在!?
古代から石には不思議な力があるといわれていますが、この謎に包まれた王位石にも不思議なパワーがあるようです。
ガイドさんが取り出したのは方位磁石。
王位石が巨大なパワーストーンだからなのか、固有の磁気を発しているかのように、王位石に方位磁石を近づけると針が動き出して狂い始めました!
磁場が狂うと言われる場所に来たのは初めてでしたが、その巨大さとともに、目に見えない力が宿っているからこそ、古来より人々の信仰の対象になっていたのでしょう。
トレッキングツアーが日本の精神を呼び起こす体験に!?
山に入って森の中を歩き、体を使って自然を感じながら、王位石というパワースポットへ向かうトレッキング体験。
帰りも同じ道を辿って戻りますが、半日かけて神社に参拝するために山を登るという体験は、古来の山岳信仰にも通ずるものがあり、もともと日本人が持っていた自然に対して抱く畏敬の念と日本の伝統精神に触れられたような感覚になりました。
信仰心に関わらず、日本古来からの神道の聖地を訪れることで感じるものがあるかもしれません。
決して簡単に行くことのできない場所ですが、気になる方はぜひ沖ノ神嶋神社と王位石へ参拝しに行ってみてください。
野崎島自然学塾村に宿泊も!
今回ガイドをしてくれた前田さんは、野崎島のベテランガイドでもあり、この野崎島自然学塾村の塾長もされています。
野崎島の休憩施設や宿泊施設はここ、野崎島自然学塾村のみ。
王位石トレッキングツアーは小値賀島から日帰りで行くこともできますが、静かに自然と向き合ってみたい方は野崎島自然学塾村に宿泊してみるのもいいでしょう。
廃校を利活用された施設は、宿泊体験学習施設の少年自然の家のような感じで、お部屋以外のシャワーやキッチン、食堂のような広いホールは共同で使います。
wifiや携帯の電波は安定しないので、昼間は周辺を散策したり、ビーチを訪れたり、デジタルデトックスも兼ねてゆっくりとした時間を過ごしてみてください。
こうした時間が、スタッフの方や旅で野崎島を訪れている方との出会いや交流に繋がり、新しい発見があるかもしれません。
祈りの島・野崎島で本来の自然に触れる旅を
今回は王位石トレッキングツアーに参加しましたが、野崎島の南端にある隠れキリシタンが暮らしていた旧舟森集落を訪れる「舟森トレッキング」、野崎島の中心部・野首集落を見下ろす標高256mの「トンギ山」を登る「トンギ山トレッキング」、小値賀港ターミナル発着の野崎島・小値賀島両方を周るガイドツアー「五島列島キリシタン物語」など野崎島を巡る数種類の現地ツアーがあります。
各現地ツアーやガイドさんの手配は小値賀島の観光ワンストップ窓口「おぢかアイランドツーリズム」さんで受付けているので、興味のある方はぜひ問い合わせてみてくださいね。
また、野崎島ガイドツアーについては #ナガサキタビブのメンバー さやぶぅの記事をご参考に!
かつて神道とキリスト教がともに共存していた祈りの島・野崎島へ、自然のパワーを感じに行ってみませんか。
PickUp
王位石までのトレッキングコースに関して
野崎島へはガイドなしでも船で行くことができますが、王位石までのトレッキングコースは滑落の恐れもある険しい山道です。
立て看板もなく、遭難の恐れや野生のイノシシに遭遇することもあり大変危険なので、王位石に行かれる際はおぢかアイランドツーリズムへ現地ガイドツアーの申し込みを。
7日前までに予約が必要になるので、ご注意ください(王位石トレッキングツアーは10月~6月のみ)
今回訪れた場所
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この記事を書いた人
#ナガサキタビブ 部員(公式ライター)
長崎の魅力を県外や海外の方に知ってもらいたい!
長崎県大村市出身。インバウンドを得意とする旅のコンテンツクリエーター。海外・東京などでの生活を経て、2018年の暮れに長崎にUターン。その後、長崎の歴史や文化を学び直し、その魅力にはまる。個人のSNSやフリーランストラベルライターとしても複数メディアで長崎の魅力を発信中。