【五島列島】サステナブルツーリズムの先進地!?小値賀(おぢか)島で環境に配慮した観光体験を!
コロナ禍以降、世界的に意識が高まっている持続可能な観光を意味するサステナブルツーリズム。
島全体が西海国立公園に指定されている五島列島の小さな島・小値賀(おぢか)島では、観光のワンストップ窓口である「おぢかアイランドツーリズム」が中心となって島の自然環境や歴史、文化といった地域資源の魅力を生かし、サステナブルな観光地づくりを行っています。
今回は、島を訪れる方に知ってほしい小値賀島の環境に配慮したエコな取り組みや、サステナブルな観光体験をご紹介します。
掲載日:2023年11月16日
ライター:Miyako
Ojika Island Green Trip(オヂカアイランドグリーントリップ)とは
海の透明度が高く、自然豊かな小値賀島ですが、一方で浜辺に漂着する海ごみが多く環境問題は深刻化しています。
海岸清掃を定期的に行っていても、漂着してくるごみは後を絶たず。
大半を占めるプラスチック製のごみは、時を経て劣化し、小さな破片となってその数は増えていくばかり。自然には還りません。
ある日、素手で浜辺の漂着ごみを拾う観光客の方がいたそうです。
それを見かけたことから、おぢかアイランドツーリズム協会で何かできることはないかと考え、誕生したのがゴミ拾いに活用できる「クリーンキット」でした。
この活動は、「Ojika Island Green Trip」として島を訪れた方が旅先でも気軽に環境保護活動に貢献できるプログラムを生み出し、環境問題の課題解決に向けて取り組まれています。
クリーンキットを購入して、ビーチクリーンを体験してみよう!
クリーンキットは小値賀港フェリーターミナル内で販売されています。
旅の思い出やお土産にもなるかわいいビーチクリーンのグッズと、海ごみについて学べる冊子がセットになっています。
キットに含まれるのはこちら。
①大漁旗を再利用してできたカラフルなバッグ(島のお母さんたちの手作り!)
②野崎島に生息する鹿と五両だきを描いたロゴの入った軍手
③自然に還る生分解性プラスチックでできたゴミ袋
④島にいまも残る活版印刷技術で印刷されたポストカード
⑤OJIKA ISLAND GREEN TRIPの取り組みリーフレット
小値賀の魅力を散りばめたこのキットがあれば、すぐにでも海岸に行ってビーチクリーンができます!
売上の一部は小値賀町の環境保全に充てられ、購入するだけでも島の環境保全に貢献できますよ。
ぜひクリーンキットを購入して、ビーチクリーンへ出かけてみてください。
集めたゴミはフェリーターミナルまで持っていくか、持ち込みが難しい場合はおぢかアイランドツーリズムにご相談を!
〜SEA YOU AGAINワークショップ〜 で海洋プラスチックごみをアップサイクル!
ビーチクリーンで拾ってきたプラスチックごみや小値賀で集められた海洋プラスチックごみを使って、自分だけのブローチを作ってみませんか?
ごみを資源に、カラフルな海洋プラスチックの破片を散りばめて、熱を加えてプレスするとオリジナルのブローチに生まれ変わります。
デザインは小値賀の特産であるピーナッツと、野崎島に生息する鹿の形の二種類。
配色で印象も変わり、まったく同じものは作れないので、オリジナルカラーのブローチができあがります。
また、クリーンキットを購入された方は体験料が割引になりますよ!
名前にもある「SEA You Again」 とは、九州産業大学と小値賀島が共同で作り上げたアップサイクルプロジェクト。
「See You Again (また会いましょう)」のSee(会う)をSea(海)に変えて海から拾われアップサイクルして生まれ変わった海洋プラスチックごみにまた出会うという意味と、小値賀に訪れた方もまた小値賀に帰ってきてね、という想いも込められています。
お隣の新上五島町でも以前、同じような体験をしてきましたが、どちらも元は横浜にあるプラスチックメーカーさんが行っているワークショップだったのだそう。
そのプラスチックメーカーさんとのコラボから生まれたワークショップでもあり、小値賀島の型はオリジナルで作ったものだそうですよ。
こうして素敵な取り組みの輪が、遠く離れた長崎県の離島にも広がっていくのはとてもいいことですね!
グッドデザイン賞を受賞!mu(ムー) Sea You Again プロジェクトの石けんケース
こちらもSEA You Againプロジェクトで誕生した石けんケース mu(ムー)。
小値賀に漂着した海洋プラスチックごみを利用して作られた小値賀産のアップサイクル製品です。
アップサイクルとは…本来は捨てられるはずのものに価値を与え、新たな製品に再生すること。
「mu(ムー)」は0(ゼロ)を意味する「無」からきていて、海洋ごみを「無し」にするという意味と、石けんケースとセットになっている「シャボン玉石けん」の「無添加」という意味も込められているそう。
この石けんケース「mu」は2023年にグッドデザイン賞、2022福岡デザインアワードにて大賞を、そして九州ADCアワード2023にてソーシャルデザイン部門大賞を受賞。
デザイン性と社会問題の解決への取り組みが評価されています。
そして、コースターやトレイ、マグネットなど小値賀で回収された海洋ごみをアップサイクルしてできた再プラスチック製品も誕生しました。
石けんケースの「mu」をはじめ、これらのアップサイクル製品は小値賀港ターミナルにある窓口で販売されています。
環境問題に関心のあるあの人へ、あるいは自分へ、こんなサステナブルなお土産もいいかもしれませんね。
ペットボトル削減!フェリーターミナルでマイボトルに給水を!
プラスチックごみへの意識が高まると減らしていきたいと思うペットボトル。
最近はマイボトルで給水できるスポットも増えてきました。
給水アプリ・mymizuの給水パートナーとなっているおぢかアイランドツーリズムでは、フェリーターミナルの窓口でマイボトルを持参すると、無料でお水を補給してくれます。
旅にマイボトルを持ってきたら、ぜひ窓口で給水をお願いしてみてくださいね。
ほぼ無人島、世界遺産の島・野崎島で自然と向き合う時間
小値賀島から町営船でのみアクセス可能な野崎島。
「野崎島の集落跡」は、世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つです。
ここはかつての集落跡や教会が残り、野生の鹿が多数生息しています。
いくつかガイドツアーがあるので、ガイドさんから野崎島の歴史を学んだり、大自然を肌で感じながらぜひゆっくりと過ごしてみてください。
廃校を活用した休憩・宿泊ができる唯一の施設「野崎島自然学塾村」は、少年自然の家のような場所で、子どもキャンプが行われたり、自然学習や宿泊学習などにもうってつけ。
シャワー室、キッチンには地球環境にやさしいシャンプーや洗剤が使われていて環境にも配慮されています。
文明の名残りを感じつつ、自然を身近に感じながら自分と、そして自然と向き合う体験を。
取り組みを知り、島の環境保全を意識したサステナブルな旅を!
海と木々に囲まれた小さな島で暮らす人々。
自然に近い環境だからこそ、環境問題を身近に感じるのかもしれません。
開発された観光地に行き消費するという旅行も楽しいですが、SDGsが叫ばれる中、今後はこうした旅先で環境に配慮した社会貢献や地域貢献に繋がる体験や取り組みを意識して旅のプランを考えてみるのもいいのではないでしょうか。
小値賀島を訪れて、ぜひサステナブルな旅を体験してみませんか。
今回訪れた場所
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この記事を書いた人
#ナガサキタビブ 部員(公式ライター)
長崎の魅力を県外や海外の方に知ってもらいたい!
長崎県大村市出身。インバウンドを得意とする旅のコンテンツクリエーター。海外・東京などでの生活を経て、2018年の暮れに長崎にUターン。その後、長崎の歴史や文化を学び直し、その魅力にはまる。個人のSNSやフリーランストラベルライターとしても複数メディアで長崎の魅力を発信中。