建築好き必見!緋寒桜だけじゃない、伝統的な日本建築が残る神代小路をまちあるき~神代駅からの行き方やマップも!
長崎県雲仙市国見町に、江戸時代の建築物が残る重要伝統的建造物群保存地区があるのをご存じですか。
九州内でいうと鹿児島県の知覧、大分県の杵築のような武家町が長崎県内にもあるんです。
私も今まであまり知らなかった神代小路(こうじろくうじ)。2月の緋寒桜が見頃の時期には多くの人でにぎわいます。
今回、神代小路エリアへ行ってきたので緋寒桜だけではない歴史感じる神代小路へのアクセスやスポットとともに紹介します。
掲載日:2023年02月16日
ライター:Miyako
神代小路はどこにある?アクセスは?
神代小路は長崎市内から車で一時間ほど東にある雲仙市国見町、島原半島の北部の真ん中にあります。
車がない方でも諫早駅から黄色の車体が印象的なローカル列車・島原鉄道で神代駅まで約50分。
神代駅を降りてから右へ進み、神代小路へは徒歩5分ほど。
初めての方には神代駅からの道のりがちょっと分かりにくいので、上の画像をスワイプしてご確認ください。
車の方は神代小路入口にある「まちなみ交流館」の前に無料の駐車場がありますよ。
神代小路(こうじろくうじ)とは
神代小路エリアは2005年に国の重要伝統的建造物保存地区に選定され、2006年には国土交通省の都市景観大賞(美しいまちなみ賞)を受賞しています。
旧領主の住まいだった鍋島邸を中心に、周辺には領主に仕えた家老や武士たちの家が残っており、江戸の雰囲気が感じられる歴史地区。
長崎県内の人でも知らない人がまだまだ多い穴場の観光地なんです。
このエリアでは現在も景観を整える工事や改修も行われてます。
神代小路入口には2021年に一棟貸しの古民家宿「TOKI TOKI」がオープン。
さらに「TOKI TOKI」の裏には、2023年1月「DENKEN WEEK Kojiro」のイベントに合わせて「旧みのつる資料館」を改装した「Cafe&Yoga Jaya」がプレオープンしたり、景観保存整備や町づくりが進んでいて秘かに話題になっています。
緋寒桜で有名な鍋島邸は神代小路の最重要スポット!
神代小路に来たなら鍋島邸ははずせません!
幕末から明治・大正にかけて建てられた伝統建築物が混在し、佐賀藩の飛び地、神代領「鍋島家」の陣屋跡という佐賀と長崎の歴史的繋がりを感じられる場所です。
建築好きにはたまらない!
緋寒桜が有名で、2月の中旬から3月上旬の見頃の時期には多くの訪問客が訪れます。
回遊式の枯山水の庭園はきれいに手入れされていて、緋寒桜の時期以外でもツツジや藤、秋はツワブキの花が咲き、年中風情と自然が感じられます。
歴史に疎くても庭園やここからの景色を眺めるために、入場料を払ってでも訪れる価値アリです!
よくネットやパンフレットで屋敷の主屋正面入口と緋寒桜の大木の写真を目にしますが、残念なことに3本のうち2本が枯れてしまったそうで、新しく植え替えられていました…
過去の満開時の景観を知る人にはショックかもしれませんが、庭園を登った高台や敷地内には緋寒桜が何本もあるので、シーズンには引き続き緋寒桜鑑賞もお楽しみください。
庭園の景観や外観だけじゃない!主屋の内部も要チェック!
主屋の中も公開されているので忘れずに入ってみましょう。
注意:邸宅内は撮影・録画は禁止です。(今回は特別に許可を頂きました)
内部では奥に長細い池を囲むように廊下が繋がっています。
こちらの池は防火用水と、夏場、水面を風がそよぎ涼しくなるようエアコン代わりの用途として作られたと言われています。
廊下を囲むガラス戸のガラスは「大正ガラス」と呼ばれる初期のガラス。
機械で製造されるようになり、フルコース式により気泡や歪みが見られ独特の味わいを持っています。
庭が見えてくると現れる客間部(書院)ではぜひ座ってみてください。
ここは茶室としても使われ、座った目線から枯山水の庭園がゆっくり眺められます。
奥のお座敷も茶室として使われ、庭園は茶庭(露地)として茶室に向かう飛び石や客が席入する前に手を清め、口をすすぐために置かれた手水鉢もあり、遠州流茶道のわびさびを感じることができます。
その他、お座敷には外交官として活躍した16代当主の鍋島桂次郎に関する展示や、4代目鍋島嵩就が島原の乱に出陣した際に着用したと言われる鎧もあり、日本の文化と歴史に触れられます。
ガイドさんがいるとより鍋島邸の魅力がわかる!
今回、現地ガイドの今村さんにお会いし、歴史や建築、見どころなどを色々と教えていただきました!
案内がなかったら、多分さらっとしか見なかったかもしれません…
今村さんはいつもお手製の三味線で俳句調に弾き語りをして案内されているとのこと(今回は普通にご案内頂きました。)
現地ガイドさんは3名おり、緋寒桜のシーズンやイベントなどには当番制で鍋島邸に来る訪問客の案内をされているそう。
団体での訪問の際はガイドさんのアレンジもできるとのことなので、事前に雲仙市教育員会生涯学習課に相談してみてください。
今村さん、ご案内ありがとうございました。
マップを入手するとまちあるきに便利!
鍋島邸で「神代小路散策マップ」を頂きました!
雲仙市歴史資料館国見展示館や神代商店街などにも置いてあるそう。
マップがあると町の全体像がわかり、QRで説明を読み取れ、スポットの位置も確認できるので、ガイドさんがいなくてもセルフガイドでまちあるきが楽しめます。
神代小路の散策に活用してみてくださいね。
2021年に発足したコウジロコネクトの活動拠点・今村邸(榎の下)
鍋島邸を後にし、通りを進んで枡形と新しく復元された長屋門のそばにある今村邸へ。
明治中期に建てられた今村邸は、芸術を通した交流の場にする団体「アートネット コウジロコネクト」の活動拠点として、イベントを開催したり運営を行っています。
休憩利用もでき、陶器、オカリナなどの販売もありますので、開館時にはぜひ寄ってみてください。
開館日はこちらをチェック。
築300年の風情が残る茅葺屋根の永松邸
神代小路の通りの端にある永松邸は、鍋島家の教育係を務めた格式ある永松家の武家屋敷。
神代小路の通り沿いには茅葺屋根をトタンで覆っているものや、鍋島邸の敷地内にも茅葺屋根の建物はありますが、通り沿いから眺められる茅葺屋根の建物はここだけ。
イベント開催時など不定期開館ですが、開館時は茅葺屋根の裏側が見られます。
敷地を囲む塀の下部は自然石積み。
上部は生垣の作りになっていて、周辺の生垣と同じように緊急時に弓矢としても使用できるよう矢竹の生垣です。
「神代鍋島 博物館」!?見逃しがちな下防墓地(しもぼうぼち)
下防墓地は永松邸から道路にでて左に曲がり川沿いの小道を入った先にあります。
現地ガイドの今村さんおすすめの場所で「神代鍋島の博物館」と呼ばれていました。
神代鍋島家初代信房とニ代目茂正のお墓があり、神代鍋島家に関わる人々の供養塔や、島原の乱で幕府軍として原城で戦死した神代鍋島の武士たちの合祀墓など、自然石からなる墓碑が並んでいます。
私有地なので立ち入りはできませんが、鍋島邸と合わせて神代小路のまちあるきコースとして通ってみては。
裏小路を通ってエリアを一周!
下防墓地から石垣や生垣が残っている神代小路の裏道の細い路地へ。
近代的な住宅が立ちならぶ居住地ですが、ここを通って現代の生活の場を垣間見ながらぐるっと一周して、神代小路の入口まで戻りましょう!
神代小路の歴史と情緒あふれる町並みは外国人観光客にもおすすめしたい!
今回、神代小路を訪れてみて、歴史を感じられる日本らしい景観は外国人が好きそうだなと思いました。
長崎県を訪れる外国人観光客にももっと知ってほしいですね。
まずは知ってもらうことで今後ニーズが増えてくるかもしれません。
景観整備や空き家活用への取り組みが進められている神代小路エリアは今後も目が離せません!
今回訪れた場所
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この記事を書いた人
#ナガサキタビブ 部員(公式ライター)
長崎の魅力を県外や海外の方に知ってもらいたい!
長崎県大村市出身。インバウンドを得意とする旅のコンテンツクリエーター。海外・東京などでの生活を経て、2018年の暮れに長崎にUターン。その後、長崎の歴史や文化を学び直し、その魅力にはまる。個人のSNSやフリーランストラベルライターとしても複数メディアで長崎の魅力を発信中。