「進撃の巨人」の特別映像も!軍艦島デジタルミュージアムの日本初の新コンテンツ「立体シアター」とおすすめコンテンツをまとめてご紹介!
長崎市高島町にある端島(はしま)、通称「軍艦島」は、海底炭鉱の島として日本の近代化を支えました。
「軍艦島デジタルミュージアム」は、当時「人口密度世界一」と言われた活気溢れる島の様子や、上陸ツアーでは見ることのできない立入禁止区域などを、巨大スクリーンやプロジェクションマッピングで体感できるミュージアムです。
端島は今年1月に「閉山50周年」を迎え、3月にはミュージアムに日本初の新コンテンツ、5面のLEDディスプレイに没入感ある映像が流れる「立体シアター」もオープンしました!
端島の歴史文化をデジタル技術を通して体感できるミュージアムの魅力を、最新情報も交えてお届けします!
掲載日:2024年03月15日
ライター:MILK
軍艦島デジタルミュージアムへのアクセス
「軍艦島」は、2015年7月に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産の1つとして世界文化遺産に登録された島です。
「軍艦島デジタルミュージアム」は、その世界文化遺産登録された同年9月にオープンし、周辺にはグラバー園、大浦天主堂、旧香港上海銀行長崎支店記念館などが立ち並ぶ、長崎観光の中心部にあります。
専用駐車場はありませんが、入口正面に市営「長崎市松が枝町駐車場」があります。(写真2枚目)
その他周辺部にも駐車場は多いです。
路面電車でお越しの方は「大浦天主堂」下車、バスでお越しの方は「松が枝国際ターミナル」で下車、どちらを使われても徒歩30秒~1分程の距離です。
軍艦島クルーズ前に、島の意義や歴史文化を学習できる
軍艦島デジタルミュージアムは、軍艦島クルーズに行く前に訪れておくと、島の意義や歴史文化を学習でき、上陸した時の感動もまた特別なものになると思います。
クルーズは天候や季節により欠航となる場合もあります。
せっかく遠方から訪れたのに…と落胆される観光客の方々も、このミュージアムを訪れれば、軍艦島への理解が深まり、次回訪問時の期待にも繋がるのではないでしょうか。
ミュージアムのコンテンツは、当時の膨大な量の写真や上陸ツアーでは見ることのできない、立入禁止区域の画像や映像をアーカイブし、それを最新テクノロジーのVR(バーチャルリアリティ)・プロジェクションマッピング・30mの巨大スクリーン・立体シアターなどで再現しています。
2Fのイチオシ! 30mの巨大スクリーン【プロジェクションマッピング|軍艦島シンフォニー】
ミュージアムのコンテンツは、各々小さなものまで工夫が凝らされていて楽しいのですが、その中でもイチオシのものを各階から一つずつご紹介しますね。
まずは1Fエントランスから階段を上がった2Fの「軍艦島シンフォニー」。
これは全長30mの巨大スクリーンに約3000枚の写真を投影した、軍艦島の当時の様子を伝えるプロジェクションマッピングです。
床面に映像が反映する壮観のリフレクションで、観る人の心に訴えかけてきます。
5分間のアニメーション「Amazing Hashima」では、軍艦島の活況期から終焉に至るまでのストーリーと、その後の日本の発展状況が表現されています。
石炭産業の時代が、今の日本の発展を支えてきたのだなと、胸に迫るものを感じます。(30分おきに放映)
水平方向に動くシームレスな空間では、観ているうちに、その世界に入ってしまったかのような臨場感ある映像を体験できます。
島民ガイドの肉声による語りに、心打たれます
この方は端島生まれの島民ガイド、木下稔(きのしたみのる)さんです。
語り口調も鮮やかに、ポインターを使ってモノクロの古写真などを差し示しながら、軍艦島の暮らしぶりを話してくださいます。
端島の石炭は非常に良質で、鉄鋼業に欠かせないコークスの原料になっていたこと、採掘のために「人口密度世界一」になる程の人が集まっていたこと、坑内の労働環境は気温35度以上・湿度95%と劣悪であったこと、しかし生活は豊かで最先端の家電製品が各家庭にあったこと、自然発火の消化のために坑内を水没させ、炭鉱の運命が変わっていったことなど…
肉声で語られる言葉には、当時生活していた方ならではの重みがあります。
3Fのイチオシ! 立ち入り禁止エリアもVRで散策できる【軍艦島VR】
軍艦島の立入禁止区域に、VRで仮想上陸できるコンテンツです。
ゴーグルを付けると音楽と映像が流れてきて、まるで鳥になったように軍艦島を飛び回ることができます。
360°見渡せるので、本当に立ち入り禁止区域に上陸した気分が味わえますよ!
軍艦島は上陸しても見学できるエリアが限られているため、以前から立入禁止エリアを見たいとの要望が多かったそうです。
軍艦島に実際に足を運ばなくても立入禁止区域の島内を散策できる臨場感があり、病院内や映画館跡、アパート内の詳細を見学でき、貴重な文化資源を理解する上でも有効なコンテンツとなっています。
4Fのイチオシ! オープニングセレモニーは「進撃の巨人」から始まった【立体シアター】
ここからは、2024年3月7日に開催された「立体シアターオープニングセレモニー」の画像を使ってお伝えします。
これは当日の点灯式の様子です。流れているのは「進撃の巨人」の特別映像。
軍艦島が2015年に公開された実写版「進撃の巨人」のロケ地となったことから、このようなコラボレーションが実現しました。
立体シアターには、幅6m、奥行き5m、高さ2.4mの空間に4KのLEDディスプレイ2000枚が設置してあり「天井・正面・床・両側面」の計5面を使って、イマーシブな(没入感ある)映像が楽しめます。
「現在から過去へとタイムトリップ!」というストーリー構成
軍艦島の「日給社宅」をテーマにした映像では、日本で2番目に古く、その当時の最高層9階建ての鉄筋コンクリートアパートで暮らす少女「みちこちゃん」が案内人として登場し、現在から当時の島の様子が分かる過去へとタイムトリップするというストーリーが展開していきます。
インタラクティブ(双方向型)なシステムでディスプレイに触れて、物語に参加できる
画面にはタッチセンサーが付いているインタラクティブ(双方向型)なシステムなので、ゲーム感覚で当時の様子を学ぶことができます。
5面ディスプレイの中に入って、画面に触れながら操作できるコンテンツは「日本初」だそうです。
体験者は物語の中に出てくるクイズに、画面にタッチして答えたり、水道バルブを回したりして、物語に参加できます。
当時の島は、日本初の鉄筋コンクリートの建物が建ったり、テレビの普及率が日本一だったりと、とても豊かな暮らしぶりだったことはよく知られていますが、軍艦島が炭鉱の島として栄えた当初は、水を本土から給水船で運ぶしかなく「水が貴重だった」ことや、1957年に海底水道が開通して便利になったこと、開通までには並々ならぬ努力があったことなどが、この映像の中に入る体験によって実感できました。
「立体シアター」と「VR」の違いは何か?
「仮想空間を楽しむコンテンツ」は今までVRがありましたが、VRはゴーグルを使って映像を見るので、一緒に体験している他の方々が何をやってるのか分かりませんよね。
でもこの立体シアターはゴーグル無しで仮想空間が楽しめるので、周囲の方々と感動を共有できるという素晴らしさがあります。
身体を包み込むように展開する、迫力映像の没入感は半端ないです!
オープニングセレモニーには、長崎市の鈴木市長も参加されており、ご挨拶の時におっしゃっていた「体験型コンテンツは強いので、長崎の観光の武器になるのではと大いに期待している」という言葉が印象に残りました。
立体シアター隣の「コスプレコーナー」で主人公になりきる 【地獄段シアター】
立体シアターの隣には、端島銀座近くにある急勾配の階段「地獄段」を再現したスペースがあります。
2017年に東京で上演された舞台、バッキャローシリーズ~端島・軍艦島編〜に使用されたステージがそのまま移築されたそうです。
ここには衣装が用意してあるので、記念撮影スペースとして最適です。「進撃の巨人」の衣装もありますよ!
シアターの主人公になりきって、写真撮影はいかがでしょう?
軍艦島らしい「炭鉱員」の衣装や道具も用意してあります。
衣装は男性用だけではなく、女性用のセーラー服やかっぽう着、カツラ等もありますので、ぜひ記念写真を楽しく残してくださいね。
セットの階段を上った奥には、当時の島民の暮らしを見守った「端島神社」が再現されています。
その他のコンテンツも充実しています!
軍艦島デジタルミュージアム内の各コンテンツは、元島民のインタビューを丁寧に行っていたり、模型や絵ひとつ取っても、ただ展示してあるだけではなく、プロジェクションマッピングが仕掛けてあったり、インタラクティブな仕組みだったりと、ひとつひとつの展示に「しっかり伝えていかねばならない」という使命感を感じます。
軍艦島のことをより深く理解できますので、ぜひ一つ一つをじっくりとご覧ください。
1F 軍艦島のコンセプトカフェ 【cafe X】
デジタルミュージアムの1Fには、自家焙煎したスペシャルティコーヒーや、オリジナルスイーツが楽しめる「cafe X(カフェエックス)」があります。
カフェのロゴマークは軍艦島を象徴する《X階段》の「X」の字形を「蝶」のフォルムに見立て、朽ちながらも魅力を放つ永遠の存在としてシンボル化したそうです。
写真4枚目は、カフェの窓から見える風景です。
ファミリーマートの角を登れば、大浦天主堂やグラバー園に通じる「グラバー坂」、左手に見える瓦屋根は、長崎ちゃんぽん発祥の店「四海樓」。
cafe Xは、こんな長崎の王道観光地の中心部にあります。
坂の街長崎を歩き疲れた時には、ホッと一息の休憩にも使えるし、同じ館内にデジタルミュージアムがありますので、そこで知見を広げるのも良いですよね。
カウンターには電源もあるので、スイーツを楽しんでいる間に携帯の充電をさせてもらえる所も、ポイント高いです!
軍艦島のフォルムや、X階段をかたどった、オリジナルドリンク&スイーツが頂けます!
軍艦島のコンセプトカフェにお伺いしたので、軍艦島にまつわるメニューをオーダーしてみました!
写真1枚目は、竹炭パウダーでX階段をかたどった「軍艦島ラテ」と、大島トマトのジェラートです。
乗ってるカステラは、軍艦島に立ち並ぶ建築物を表しているのだとか。
写真2枚目は、抹茶で軍艦島のフォルムをかたどった「そのぎ茶ラテ」。
長崎県産の食材にこだわっており「美味しさと映えが両立してるなぁ」という印象を持ちました。
ジェラートは全て県産品を使用しているそうですよ♪雲仙ミルクや、長崎黄金(じゃがいも)のジェラートなど、美味しそうなものばかり♪
ショーケースにはお持ち帰りできるスイーツが並びます。
ミュージアム利用者には「10%オフ」チケットが配付されていますよ!(入館当日中までご利用可)
個人的に気になったコンテンツ 【おさんぽガンショーくん】
これはミュージアム内に設置してあるコンテンツではなく、スマートフォンにアプリをダウンロードすると、ミュージアムのキャラクター「ガンショーくん」と一緒に写真撮影したり、ゲームが楽しめるというものです。(ダウンロードはこちら)
軍艦島は、320×120m の小さな岩礁から始まりました。だからイメージキャラクターは「ガンショーくん」なのですね。
意味を知ってキャラを観ると、何だか愛おしさが増してきました。
アプリを通して、どこでもガンショーくんを出現させて記念撮影ができます。
ロックンロールというカステラのおやつが大好きで(岩だけに)アプリ上で上手にゲットさせると、とっても喜びます!
ミュージアム内でいろんなガンショーくんを発見して、図鑑に納めましょう。
ショップコーナーにはガンショーくんグッズも充実!
ガンショーくんが気になった方は、ぜひミュージアムショップを覗いてみてください。
お菓子から衣類まで、いろんなグッズが揃っていますよ。
さて軍艦島デジタルミュージアムの魅力はお伝えできたでしょうか?
長崎県民の方は、各種証明書(免許証・保険証など)を提示すると、入場料金(大人)1,800円が半額の900円になりますので、証明証をお忘れなく!
次回は、軍艦島クルーズ船に乗り、実際に軍艦島に降り立ってレポートをお届けしようと思います。
この記事を書いた人
#ナガサキタビブ 部員(公式ライター)
実際に訪れてみたくなるような「人を動かす写真」をお届け!
「観る観光地」だけでなく「人が写って映える観光地」の提案+美味しい物も♪プロカメラマンならではの視点で、今まで気付かなかったスポットも発掘していきたいです。地域活性化を目指す市民グループ「諫早もりあげガールズ」のメンバー。見知らぬ猫も、エサ無しで惹き寄せる特技アリ。プロフのフルーツバス停の写真は、ゆうちょの全国カレンダーに採用されました。