【松浦市・鷹島】養殖マグロと元寇の島に行ってきた!ロマンと食のショートトリップ★
今回訪れたのは、福岡市や佐賀市から車で1時間半の場所にある松浦市・鷹島。養殖トラフグや養殖マグロの産地として名高い、海に囲まれたのどかな島ですが、実は「元寇の地」でもあるんです。
元寇とは、鎌倉時代中期に当時の元(モンゴル帝国)によって、二度にわたって日本に侵攻した出来事です。
現在、鷹島では、今から700年以上前に沖合に沈んだ元寇船のイカリを引き揚げるプロジェクトが進んでいます。歴史とロマンのつまったこの島で、おいしい食を堪能しながらめぐるショートトリップへ、いざ。
掲載日:2024年06月12日
ライター:ことぐらし
大迫力!「鷹島本まぐろ」のマグロ解体ショー
まずやってきたのは、肥前鷹島大橋のたもとにある「道の駅 鷹ら島」です。
こちらの道の駅の売りは、養殖マグロの産地ならでは!大迫力のマグロ解体ショー!
捌かれるのは、鷹島のブランドマグロ「鷹島本まぐろ」です。前日までいけすを泳いでいたというマグロが、4人の鮮やかな手つきであっという間に部位ごとに。ホホ肉や目玉、中オチ、脳天などスーパーではまず見かけない希少部位も購入可能。
ただし、予約は解体ショー当日の窓口にて受付なので、早い者勝ち!(部位によってお一人あたりの購入個数が限られているものもあります)
PickUp
ほかにも気になる海産物が目白押し
「道の駅 鷹ら島」の売りは、マグロ以外にも。店内には巨大ないけすがあり、豊富な海産物が並んでいます。地元の漁師さんが水揚げし値付けまで行っているそうで、中には相場よりかなりお値打ち価格のものも。種類も豊富で、見ているだけで楽しい、まるで水産物のテーマパーク!
敷地内には、アジフライのモニュメントもありますよ。
開店直後に満席!何を食べてもうまい「味処 まつばら」
さっそく解体されたばかりのマグロの中トロを購入。その足で向かったのは、道の駅併設の食堂「味処 まつばら」。なんと調理代200円を払えば、道の駅で購入したサクを盛り付けてくれるんです。
ご飯とタレ、あら汁などを追加で頼めば、即興マグロ定食に!
一緒に、鷹島名物「魚島来(おとこ)飯」と松浦名物アジフライも注文しました。
マグロはしっとり柔らかく、脂がのっていてとろける旨さ!地元の漁師飯が発祥という「魚島来飯」は、新鮮な地魚が5種類以上のって、美しい。アジフライも臭みがまったくなく、さくっと揚がって何個でも食べられるおいしさでした。
近くのテーブルの人は、鷹島ちゃんぽんやカレーライスを頼んでいる方も多く、次回はそちらも狙いたい……!
貴重な遺物とともに、元寇を学び直す
お腹いっぱいになったところで、お次は元寇の遺物を展示している「松浦市立埋蔵文化財センター」にやってきました。実は、わたし以前からX(旧Twitter)で、元寇に由来する遺物の引き揚げについて動向をチェックしており、今回は満を辞しての訪問!俄然、期待が高まります。さっそくガイダンス施設にお邪魔。
まず注目したいのは、展示室中央に置かれた銅製印(レプリカ)。元の言葉で「管軍総把印(かんぐんそうはいん)」と書かれており、ゆくゆくは国宝に指定されてもおかしくない貴重な遺物なのだそうです。
ほかにも館内には「てつはう」の展示や、元寇船のいかりなど、たくさんの品々が。歴史で学んだものを前に、ロマンと凄みを感じずにはいられませんでした。
水中考古学の英知つまった保存方法
ガイダンス施設を出て、いよいよ隣のセンターへ。
ごおっという空調の音が響く、天井の高い施設内には大きなプールが。こちらで、海から引き揚げた遺物を保存処理しているのだそう。海水に浸かっていた遺物は、引き揚げたままにしておくと痛んでしまいます。まず、水につけて塩を抜き、その次はトレハロース水溶液につけ、濃度を70%まで徐々にあげるのだそう。物の大きさによりますが、2〜3年かかることも。(それでも、以前のポリエチレングリコールを使用した保存処理に比べると、処理期間が短くなっているのだそうです!)
海底に700年以上眠っていた遺物が人の目に触れるまでには、たくさんの時間と労力と知識が費やされているんですね。
当時を伝える石碑に、思わず身震い
埋蔵文化財センターでお話の中で上がったスポットへ。それが、こちらの開田(ひらきだ)の七人塚。
「一度目の元寇(1274年文永の役)で元軍に殺された一家7人を偲ぶ石碑です。当時、鷹島に上陸し、住民をみな殺しにした元軍。開田は山深いため、一旦はその襲撃を免れたかに思えましたが、不運にも鶏の鳴き声で見つかり、一家7人が殺され、灰だめに隠れたおばあさんだけ助かったと言われています。今でも開田集落では「鶏は飼うな」という言い伝えがあるのだそう。
目を閉じると、当時の光景が浮かぶようで、思わず身震い。
海の上には元寇船が!!ARで体験
もうすこし元寇のことが知りたいと思い、鷹島神崎(たかしまこうざき)遺跡へ。水中遺跡のため、見た目には何の変哲もない漁港ですが、スマートフォンをかざせば……??
なんと、ARで海の上には元の船が!こちらは、松浦市が制作した「AR蒙古襲来~甦る元寇船~」というアプリ。島内のいろいろなところにARポイントがあり、そこでスマホの画面をかざして、様々な体験が可能。ちなみに、当時鷹島へやってきた元の船は、その数なんと4,400隻!それだけの船が、嵐のなか沈み、いまもこの海で眠っているなんて。まさに栄枯盛衰です。
抜かりなく、フグもいただきま〜す
島をドライブしていると、「鷹島名物ふぐのからあげ」という看板が。マグロは食べたけど、フグはまだだった!と車を停めて、即座に注文。10分ほど待って出てきたのが、こちら。フグを一匹丸ごと揚げたからあげ「フグから(4匹入り)700円」です。フリット風の甘めの衣と淡白なフグの身のバランスが絶妙!骨まで食べれて、こりゃあ、スナック感覚にもおつまみにも最高なやつ。
ロマンと食の島・鷹島へぜひ!
最後にもう一度「道の駅 鷹ら島」へ。島内産のスイートスプリングを使用したソフトクリームをいただいて帰路につきました。以上、元寇の島・鷹島をめぐる、ロマンと食の旅でした!
余談ですが、元寇について勉強しすぎて、「もし大村湾に4,400隻の船が攻めてきたらどこに逃げよう!?!?」と、その日の夜ひとしきり怯えてしまいました。笑
水中遺跡の引揚げ調査は続くようで、今後の展開も見逃せません★
PickUp
【特集】元寇の遺産を巡る:鎌倉武士の抗戦~海に眠る蒙古襲来の遺跡
元寇(蒙古襲来)は、アジアからヨーロッパの一部まで版図を広げたモンゴル帝国(当時の元)が2度にわたって日本に侵攻した出来事です。令和6年(2024)は、最初の侵攻である「文永の役」(1274)から750年となります。長崎県の関連地である松浦・壱岐・対馬における元寇に関する最新の調査成果について、本特集で紹介します。
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この記事を書いた人
#ナガサキタビブ 部員(公式ライター)
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