かんころ餅発祥の地・外海でかんころ餅食べ比べ!収穫からかんころ餅ができるまでの過程を体験してみた!
さつまいもを使った長崎の郷土菓子「かんころ餅」。
五島列島が有名な産地ですが、実は、長崎市の外海(そとめ)地域が「かんころ餅」発祥の地!
さつまいもの収穫時期を迎え、かんころ餅作り最盛期の外海・出津(しつ)集落へ行ってきました。
今回ご紹介する「出津農楽舎」さんは、手作りのかんころ餅の製造・販売に加え、かんころ餅を使った軽食が食べられるカフェも営業しています。
ぜひ、この記事を参考に出津にお出かけしてみてくださいね〜!
掲載日:2022年11月30日
ライター:ことぐらし
出津農楽舎のカフェでかんころ餅食べ比べ!
さっそく、カフェの紹介から。
メニューは、コーヒーや紅茶のほか、トゥルシーというハーブティーや、雪浦の川添酢造さんのお酢を使ったドリンク、自家製梅ジュースなど、バラエティ豊か。
フードメニューは、
かんころ餅の素揚げ(300円)
かんころ餅のチーズ焼き(500円)
かんころ餅の炭火焼き(3枚・400円)とかんころ餅づくしです!
実際に、3品いただきました。
かんころ餅の素揚げ(メニュー名:かんころん)はさくさくモチモチでおいしい!
揚げるだけなので、家でも真似しやすいですね。
チーズ焼きは、チーズのしょっぱさとかんころ餅の甘さでやみつきに!
この組み合わせを思いついたオーナーさんにあっぱれっ!
そしてそして、炭火焼きは、実は三種類もの違う味のかんころ餅をいただくことができます。
この日は、「玄米・紅はるか・高系14号」の三種類。
甘さや食感が少しずつ異なり、ひとくちに”かんころ餅”と言っても奥が深いなあ。
どれもおいしくいただきました!
カフェの店内は、地場産品がならぶお土産屋さんみたい!
出津農楽舎のカフェ店内には、物販スペースもあります。
農楽舎さんで作られたもち麦や、前述の川添酢造さんのお酢、外海のキリシタンの暮らしを撮影した写真集などなど、
この土地らしいものに出会えますよ。
農楽舎さんのかんころ餅は、近くにある道の駅「夕陽が丘そとめ」や長崎市京泊にある長崎漁港の直売所「がんばランド」などに卸しているそうですが、すぐ売り切れてしまう場合も。
カフェの営業がお休みの日でも、かんころ餅の販売はしているそうです。
在庫を問合せてお買い物だけでも◎
お店の場所は、長崎市外海の出津集落。
道の駅「夕陽が丘そとめ」から車で5分ほどのところにあります。
駐車場はカフェの建物からすこし坂をのぼって、右手に三台分あり。
PickUp
営業日:土・日・月・火
営業時間:11:00〜17:00(販売は10:00〜)
※かんころ餅作り最盛期のため年内(2022年内)のカフェ営業はありません。1月から、従来通り営業再開されます。
かんころ餅ができるまで①さつまいもの収穫
今回は、出津農楽舎さんでかんころ餅作りのお手伝いをしてきました!
まずは、畑へ向かい、さつまいもの収穫!
農楽舎さんのさつまいもは自然農法。
掘ったさつまいもを選定し、ひとつひとつコンテナへうつします。
すこし小さいサイズのさつまいもやツルは、ヤギの餌になるそう。
外海は、日本在来種のヤギ「シバヤギ」の里でもあるんだそうです!
シバヤギの飼育も、この地区に受け継がれた伝統的な暮らしや文化を大切に守っていく取り組みのひとつとなっています。
かんころ餅ができるまで②芋を洗って皮剥き・スライス
収穫したさつまいもは洗って、上下を落とし、皮を剥きます。
そして、スライス。
こちらの道具「いもがんな」は、コツを掴むまでがむずかしい。
ふと、「かんころ餅といえば五島が有名ですけど、外海でもよく作られるんですか?」と
農楽舎の杉山さんに尋ねると、
「あらら、そこからですか!」と目を丸くされてしまいました。
実はなんと、かんころ餅は外海が発祥の地!
(わたしもこの日、はじめて知りました。汗)
潜伏キリシタンが移住した先々で、かんころ餅の作り方を伝えていったと言います。
だから、五島まで伝わったんですね。
「外海の人はあんまりアピールしない気質からか、かんころ餅が外海発祥とはあまり有名ではないんですけどね」と農楽舎の千晶さんも話していました。
発祥の地である外海で「かんころ餅を作って食べるという文化がなくなってしまわないように」という思いで、かんころ餅屋さんを始めたそうですよ。
かんころ餅ができるまで③茹でて、乾燥させる
スライスしたさつまいもを、次は窯で湯がきます。
石積みにしたさつまいもを茹でるためのかまど「くど」も杉山さんたちの手作り。
湯がく時間は、子どもの頃から家族でかんころ餅作りをしてきた杉山さんの長年の勘です。
湯がいたさつまいもは重ならないように並べて、天日干しに。
できた干し芋のことを「かんころ」と呼びます。
いまでは、機械でスライスして蒸し、乾燥までできる工場もあるそうですが、杉山さんのかんころ餅は昔ながらの製法です。
いもがんなでスライスし、火と水でしっかり湯がき、冬の乾いた風にさらして干す。
手間はかかるけど、愛情のこもったおいしいかんころ餅になります。
さつまいもの品種ごとにかんころ餅を作り分けるという、小ロット生産ができるのも手作業ならではです。
今回わたしたちがお手伝いしたのは、ここまで。
かんころ餅ができるまで④かんころ(干し芋)ともち米を混ぜて、成形
かんころ(干し芋)が完成したら、もう一度湯がいて、もち米と合わせてつき、成型して「かんころ餅」の完成です。
外海地区では、畑でとれたさつまいもで「かんころ」を作る作業が家庭で行われる冬の恒例行事だそう。
でも最近は、「かんころ」をもち米と混ぜて「かんころ餅」にしてくれる精米屋さんが減ったこともあり、かんころ作り自体が存続の危機なのだとか。
農楽舎さんでは、地元の方が持ち込んだ「かんころ」を、「かんころ餅」にする作業もしているそう。
「もち米とかんころとお砂糖の割合も各家庭で違うので、おもしろいですよ」と千晶さん。
その割合もしっかりメモして、間違いがないよう各家庭の「かんころ餅」の味を守っているんだそうです。
一般の方向けのかんころ餅作り体験は不定期で開催されていますので、インスタグラムをチェック。
かんころ餅を生んだ出津の町歩きに出かけよう!旧出津救助院へ
出津には潜伏キリシタン関連遺産もあり、町歩きも楽しいですよ。
旧出津救助院は、外海で宣教を行ったフランス人宣教師ド・ロ神父が創設した授産施設。
施設内には、当時ド・ロ神父が考えたカンコロ切りや食材の貯蔵庫、炊事場などがあります。
二階に上がると、マリア様の像と、1800年代のフランス製の振り子時計、リードオルガンの一種ハルモニュウムがあります。
今回、シスターの案内で見学しましたが、とても勉強になります。
見学の最後には、シスターが実際にハルモニュウムを演奏してくれました。
120年以上前のオルガンの音色は、潜伏キリシタンの方々の想いを今に伝えるようでした。
旧出津救助院ではかんころ作りなど食の体験もできるそうで、そちらも気になります!
PickUp
出津の町歩き、ほかにも…
ほかにも100年以上経った「ド・ロ塀」や、マカロニ工場、憩いのパビリオンなど、歴史的な建物や文化的な遺産がたくさんある出津地区。
出津教会堂もあり、教会の見学も可能です。
(教会見学の際は、長崎の教会群インフォメーションセンターへ事前連絡が必要です)
この町でド・ロ神父がどうやって宣教したのかな?
キリシタンの方々がどう暮らしていたのかな?と
考えながら歩くだけで、とても思い出深い体験になります。
坂が多いので歩きやすい靴で、ぜひ散策を楽しんでみて。
売り切れごめん!道の駅「夕陽が丘そとめ」のサンドイッチとうなぎめし
農楽舎さんにお手伝いに行った日、道の駅「夕陽が丘そとめ」でお昼ごはんにと買ったものがとっても美味しかったので、最後に紹介させてください!
夕陽が丘そとめのレストラン「ラ・メール」が作っているサンドイッチ!
レタスやトマトなど、野菜がたっぷりでとってもおいしいんです!
勢いよくかぶりつくと、甘くてコクのあるマヨソースが意外性をついていて、パクパク食べちゃいます。
このサンドイッチ、レストランが作っているけど、販売は物産直売所なので朝9:00〜購入できますよ。
そして、もう一品は笹野食堂のうなぎめし!
笹野食堂といえば、長崎のおいしいうなぎ屋さんとして有名。
こうして手軽にお弁当スタイルで買えるのが嬉しいですね。
どちらも人気商品なので、早く行かないと売り切れの可能性あり。
夕陽が丘そとめの夕日は、やっぱり最高にきれい
ここに来たなら、夕日も見て帰ってくださいね。
言葉はいらない、この美しさ。
今日の思い出がいろいろ頭に浮かんでくるでしょう。
こんなすてきな光景を見たら、また外海に来たくなっちゃうよね。
出津一日観光、ぜひ楽しんでみてくださいね。
今回訪れた場所
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この記事を書いた人
#ナガサキタビブ 部員(公式ライター)
メジャーどころからニッチな穴場までご紹介します!
長崎市琴海在住の主婦ブロガー。結婚を機に長崎県へ引っ越してきました。趣味はDIY、園芸、料理、登山・野山散策など。見逃されがちな「いい!」を県外出身者目線で発信します。