半日で効率的に観光!ガイド付きサイクリングツアーで長崎市内タイムトラベル
長崎駅近くの「カフェと宿 ROUTE」が催行中のサイクリングツアー「CROSS BORDER TOUR」に参加してきました。
眼鏡橋・中華街・出島など、長崎市内の主要観光スポットを半日(4時間)で効率よくめぐり、歴史や文化、時代背景までしっかり学べるガイド付きのこのツアー。
国と国のボーダー、文化のボーダーなど、いろいろなボーダー(境界)が融合と、また時にはせめぎ合いを繰り返してきた長崎で、過去と現在のボーダーを飛び越えながらのタイムトラベルをしてみませんか?
修学旅行生や長崎観光がはじめての方、長崎を深く学びたい方におすすめのツアーです。
掲載日:2022年02月18日
ライター:ことぐらし
キーワードは「わからん」!半日長崎タイムトラベルの「はじまりはじまり」
「カフェと宿 ROUTE」が催行するサイクリングツアー「CROSS BORDER TOUR」は、1671年の開港から明治時代にかけて急激に発展した激動の長崎について学べるスポットを自転車で巡るというもの。
独特の歴史や「異国情緒」という言葉で表現される長崎の主要観光スポットを、自転車のほどよいスピード感で巡り、実際に現地を訪れることで、歴史を追体験できる構成になっています。
まずは、店内で自己紹介!
今回のガイドは「あんちゃん」と「ちゃりの」のお二人。
ガイドの二人が古地図を見せながら、ツアーのアウトラインを聞かせてくれます。
このツアーのキーワードは、ずばり「わからん」!
「わからんって何だろう?」と思っていると、ガイドがすかさず説明を加えてくれます。
「わからん」とは、「和華蘭」と表記される長崎特有の文化のことで、和=日本、華=中国、蘭=オランダ=西洋を表してるそう。
いろいろな国の人たちと文化が交わってできた、和華蘭文化。
「CROSS BORDER」というツアータイトルの通りです。
説明を聞いていると、ツアーへの期待がどんどん高まっていきます。
一階で自転車の取り扱いを教わったら、いよいよスタート!
今回のツアーでレンタルする自転車は電動アシスト付き自転車(e-BIKE)なので、坂の町・長崎でもタフに走れます。
ガイドの「ちゃりの」ちゃん曰く「自転車界の革命」
実際に4~5時間走ってみましたが、安心感と頼り甲斐がありすぎる!
スタミナに自信がないという方も、一般の自転車より楽に走行できるのでぜひ。
今回のサイクリングツアーはもちろん、他の自転車レンタルプランなども、宿泊者以外でも申込可能なものがたくさんあるので、ROUTEのInstagramを要チェック!
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【蘭のエリア】教会の外壁から知る和と洋のコラボレーション
まずは、和華蘭の蘭=西洋からツアーは始まります。
ルートからすぐの中町教会へやってきました。
この建物が明治時代に建てられたことを、古地図を見ながら聞いていると、まるでタイムスリップしたような感覚になります。
ここで、和華蘭クイズ第一問!
「この教会建築で、変わっている場所はどこでしょう?」
参加者みんなで、建物を観察…。
ああでもない、こうでもない、と答えに頭を捻って出た正解は、なんと「屋根」!
西洋建築でありながら瓦が使われていることがポイントだそう。
このあとのツアーコースで巡る間にも、瓦屋根の西洋建築がたくさんあることに気づきます。
ガイドの説明があると、長崎の街がより印象深く見えます。
中町教会を横から見ることができる場所からだと、瓦屋根(写真奥)もよくわかります。
狭くて、車も歩行者も多い長崎の道ですが、ガイドが安全な道を選んでコース組みをしてくれているので、安心です(2枚目)。
方向転換時は、前もって教えられたハンドサインを使い、後続の自転車へと伝えていきます。
【蘭のエリア】激動の長崎を牽引した出島へ
主要観光地を訪れながらしっかり学べることが特徴の「CROSS BORDER TOUR」。
次にやってきたのは、長崎といえば!の観光スポット「出島」です。
入口に電動自転車を駐輪し、出島表門橋へ。
出島を眺めているところで、和華蘭クイズ第二問!
「出島は何のために作られたでしょう?」
真っ先に「貿易のため!」と答えたものの、実はもうひとつ理由があったそう。
それは、なんと外国人を隔離するという理由!
キリスト教含め西洋文化の影響力を恐れた幕府が、外国人を収容するために建設した施設だったとか。
いわば「ステイホーム」状態にあった出島内での西洋人の暮らしについて、当時の日本画で説明してもらいました。
ほかにも、「出島の建設費は誰が出資したか?」「西洋人が払っていた出島の家賃は?」などの和華蘭クイズも出題され、ワイワイ楽しめました。(答えは、ぜひツアー内で!)
【ブレイクタイム】長崎のすり鉢状の地形を見上げる!水辺の森公園にて
出島を出発したら、次は「水辺の森公園へ」。
自転車を停めて、長崎の街をぐるりと見渡せる場所へやってきました。
ここから、世界遺産のジャイアント・カンチレバークレーンも見られます。
この開放的な公園でブレイクタイム。
「カフェと宿 ROUTE」のコーヒーと一緒にいただいたおやつは、わたしが大好きな長崎名物「よりより」!
香ばしい小麦の味が特徴のよりよりをバリンボリンと噛み砕きながら、ガイドの説明に耳を向けます。
長崎が鎖国下でも開港地として選ばれた理由について、ガイド「ちゃりの」ちゃんが一言。
「ぐる〜っと長崎の地形を見渡してみてください」。
海と残り三方は山に囲まれ、すり鉢状になった長崎の街。
長崎に出入りする外国人の謀反や逃亡を防ぎやすかったというのも理由の一つだったとか。
長崎が歴史上重要な役割を果たすようになった地理的偶然性に、思わずうなってしまいました。
水辺の森を出て、旧香港上海銀行の前を自転車で走り抜けます(2枚目)。
気になる風景や建物について道中ガイドに尋ねると、とっておきの情報を教えてもらえることもありますよ!
【コース外】大浦の新スポットBILL & BENで冷えた体をあたためて
※2022年11月 長崎市浜口町に移転しました。
ツアーに参加した日はこの冬一番の寒い日だったので、少し暖かい場所でブレイクすることに。
(※通常、コース内には含まれていないお店です)
気候や体調・体力に合わせて、臨機応変にガイドがコース調整してくれるのもありがたいところです。
大浦にある「コーヒーとワッフルの店 BILL & BEN」へやってきました。
こだわりのコーヒーとワッフルが食べられる人気のお店です。
暖かい店内で、また和華蘭クイズ!
「いまから行くオランダ坂はなぜオランダ坂と言うでしょうか?」
ガイドの「ちゃりの」ちゃんの提案で、「わかる〜?」「わから〜ん!」というお決まりフレーズが生まれ、難しく思いがちな歴史の話も楽しく学べます!
上記の和華蘭クイズは、ぜひ参加する日まで「わから〜ん!」でいてくださいね。
温かいコーヒーと美味しいワッフルでエネルギーチャージしたあとは、オーナーの大瀬さんに元気よく見送られ、次の目的地へ!
BILL & BENの詳しいレポートは個人サイト「ことぐらし」をご覧ください。
【蘭のエリア】サイクリングツアーのハイライト!急傾斜のオランダ坂へ
「坂の町 × 電動自転車」というこのツアーの中で、最もオリジナリティーあふれる体験ができるスポット・オランダ坂へ!
車やバイクがスリップしないよう、道路に楔形の凹みが彫られているほど急傾斜のこの坂。
通常の自転車では一漕ぎもできなそうですが、電動自転車なので立ち漕ぎもせずスイスイ〜と坂の上まで!
坂の上からは、グラバー園や大浦天主堂のある南山手エリアを一望できます。
オランダ坂が位置するのは東山手。明治の開国後、大使館や病院・学校など公共施設が立ち並ぶエリアになりました。
一方で、南山手は外国人の住居エリアに、と区画整理されていたとのこと。
ここでのテーマは「光と闇」。
大浦天主堂やグラバー園を眺めながら、長崎と日本におけるグラバーの功罪、キリシタンの悲喜についての説明を聞きます。
喜ばしい歴史の背景には、必ず悲しいことや悔しいことが潜んでいるんだと、歴史理解の深度が増した気になりました。
具体的な内容は、ぜひツアー内で体験ください!
説明を神妙に聞き入ったあとは、オランダ坂を出発し次の場所へ。
【華のエリア】中華のカラーが色濃く残る新地中華街
「蘭」のエリアはオランダ坂で終わり、続いてこちらも有名観光スポット「長崎新地中華街」へやって来ました。
この場所の主軸となるのは、和華蘭の「華」、つまり中国です。
ここで、和華蘭クイズ!
「新地中華街は、当時何のために使われていた場所でしょうか?」
「わかる〜?」「わから〜ん!」と言いながら、みんなでうんうん唸りながら考えて出た答えは…
なんと倉庫だったとか!
江戸時代の長崎では、中国との貿易も行われており、荷揚げされた積荷を置いておく倉庫としてこの場所が使われていたそう。
この場所で、長崎名物「ちゃんぽん」や卓袱(しっぽく)料理の成り立ちを聞き、長崎における中華料理の影響の大きさを感じました。
長崎らしい路地裏(3枚目)をくぐり抜け、お次も長崎らしい観光スポットへ。
【華のエリア】ここも中華の影響!眼鏡橋
やってきたのは、眼鏡橋です。
アーチ型の石橋やハートストーンで有名なスポットですが、ツアーでは眼鏡橋のたもとに建てられた銅像に注目。
銅像の案内板には、黙子如定(もくす にょじょう)という名前が書かれています。
江戸時代初期に中国から僧侶としてやってきた、眼鏡橋近くの興福寺2代目住職の黙子如定禅氏師が、当時最先端の技術で眼鏡橋の建設指導をしたそう。
何度も訪れたことがあるのに、この銅像が誰で、何をした人なのかなんて気にも留めていませんでした。
ここも「華」、中国の影響を受けたエリアだったとは…!
ガイド付きのツアーだからこそ気づけた発見でした。
【和のエリア】諏訪神社はタイムアウト。カフェにて
あまりに楽しすぎて、時間が押し、日もとっぷり暮れてしまったので、「和華蘭」の「和」である「諏訪神社」はタイムアップ。
ルートカフェに戻り、ガイドの説明を聞くことに。
長崎において「和」の勢力が「華」や「蘭」の影響といかに対峙してきたかを、諏訪神社の立地や秋の大祭・長崎くんちの成り立ちから説明してもらいました。
激動の歴史を経て、いまこの長崎で「和華蘭」文化としてひとつにまとまっているのが、奇跡とも思えてきます。
暖かい店内の雰囲気も相まって、思い出深い最後のガイダンスとなりました。
後記:「線を引く」新たな観光スタイルを
カフェと宿 ROUTEの「CROSS BORDER TOUR」。
従来の観光スタイルが「点を打つ」ものであれば、このサイクリングツアーはまるで「線を引く」ようなものでした。
長崎市内の主要観光スポットを半日で巡ることができるだけでなく、スポット同士がどのように関わり合っているのか、ガイドの解説を聞きながら、歴史を追体験できる感覚を味わうことができるこのツアー。
ROUTEではガイド育成にも尽力しており、まるで自分だけの学芸員が”長崎の街”という大きな歴史博物館を一緒にまわって説明してくれるような贅沢な時間を過ごすことができました。
コンパクトにまとまっていながら、これほどいろいろな国と人々・文化が交差した、まさに「CROSS BORDER」な土地・長崎。
心地よい自転車のスピード感で、ボーダーを飛び越えながらのタイムトラベルをしてみてはいかがでしょうか。
今回訪れた場所
Google Mapの読み込みが1日の上限を超えた場合、正しく表示されない場合がございますので、ご了承ください
この記事を書いた人
#ナガサキタビブ 部員(公式ライター)
メジャーどころからニッチな穴場までご紹介します!
長崎市琴海在住の主婦ブロガー。結婚を機に長崎県へ引っ越してきました。趣味はDIY、園芸、料理、登山・野山散策など。見逃されがちな「いい!」を県外出身者目線で発信します。