1泊2日で巡る癒しの大人旅。極上体験を雲仙温泉で。
古くは外国人の避暑地として、数十年前は国内の新婚旅行先として人気のあった雲仙。
今、雲仙を訪れて見つけたのは、上質な時を過ごすヒントでした。
自然の中で過ぎる風や鳥のさえずり、エネルギッシュな地球の息吹、余分を削ぎ落とし五感を研ぎ澄ませる体験。
足早に観光地を巡るこれまでの旅行スタイルではなく、丁寧に自分をケアする新たな体験を雲仙でしてみませんか。
※ 2021年8月に起きた雲仙の豪雨災害の影響ですが、現在ほぼ復旧しており十分観光を楽しめます。(2021年9月末訪問)
掲載日:2021年10月08日
ライター:ことぐらし
雲仙観光の始まりはグリーンテラス雲仙で食べるこだわりの洋食
雲仙に到着し、まず向かったのはグリーンテラス雲仙です。
雲仙は、シーボルトが著書で紹介したことから、明治時代に欧米人の間で避暑地として人気になった場所。
当時、外国人向けにご飯+カツ+デミグラスソースで出されていたのが「雲仙ハヤシ」です。
グリーンテラス雲仙では、とろとろの卵が乗ったオムライスとなって提供されます。
その名も「雲仙オムハヤシ」。
オムライスにたっぷりかかったデミグラスソースを一口食べると、赤ワインの芳醇な香りが口中広がります。ソースの中には、お肉やマッシュルームがごろごろと。手間暇かけて作られたのが分かる納得の味です。
雲仙オムハヤシだけでなく、こだわりのデミグラスソースを堪能できる「お山のビーフシチュー」もお店の一押しメニュー。
グリーンテラス雲仙を訪れるときは、このデミソースを味わってみて。
グリーンテラス雲仙で食事した方には、敷地内にある足湯が無料開放されています。
のんびり外の風に当たりながら、あつあつのお湯に浸かるのは、これからの季節はとっても気持ち良さそうです。
雲仙観光の情報収集はお山の情報館で!
腹ごしらえも済んだので、旅の始まりは、グリーンテラス雲仙のすぐ隣にある「お山の情報館」で情報収集。
日本で初めて国立公園として指定された雲仙の自然情報や、火山の成り立ち、雲仙の歴史など幅広く展示してあり、雲仙の輪郭を知るにはぴったりです。
輪郭を知った後、その中をどう塗りつぶしていくかは自分次第。
ルートやテーマを決めるために、無料のリーフレットを数枚もらいました。今回は野山散策メインで植物や虫を眺めながら回ってみようかなぁ。
※木曜定休です。お気をつけください。
日本一のそのぎ茶も扱う喫茶室で感覚を研ぎ澄ませるワークショップ体験!
次に訪れたのは、温泉街の一角にある松尾カメラ時計展 喫茶室
日本茶インストラクターを取得された店主さんが営む小さなお店です。
最近SNSで見つけて、今回の雲仙旅行でぜひ訪ねたかった場所。 長崎県の東彼杵で作られるそのぎ茶が日本一を獲ったこともあり、県内でもワークショップ形式で茶葉の繊細な味を堪能できる日本茶専門店が増えています。
店主・アキさんが美しい所作で淹れてくれるお茶の数々。
ワイングラスで香りを楽しみながら飲むほうじ茶。炭酸割りの和ウーロン。ほうじ茶ラテ。一煎目から五煎目まで印象を変える緑茶。レモングラスをはらりと入れた緑茶などなど。いままで体験したことのない味の奥深さと広がりに、感動します。
まるで手品のように変化する色と味、そして、アキさんの穏やかな語り口調と午後の日差しが心地よく、これからの旅行時の過ごし方はこうなっていくのかも、と未来を見たような感覚に。
ひとつひとつの感覚を丁寧に濾しとって、旅行が終わった後も生活を勇気づける何かを手に帰りたいと思ったひとときでした。
松尾カメラ時計展では、登山茶会も不定期で開催しているので、日程が合えばこちらもぜひ参加してみて!
※不定休なので、お越しの際はインスタグラムのご確認を。
松尾カメラ時計展の詳しいレポートは個人サイト「ことぐらし」でも詳しく紹介していますので、ご覧ください。
雲仙観光で絶対外せない!仁田峠からの眺めは最高
夕方に少し時間が空いたので、仁田峠に行くことに。仁田峠に向かう循環道路の途中にある第二展望所からの眺めも美しく、期待は高まるばかり!
仁田峠から出ている雲仙ロープウェイ(往復1,290円)に乗って妙見岳山頂に向かいます。
ロープウェイで3分揺られると、あっという間に標高1,333メートルの妙見岳山頂へ。
せり出した山頂駅広場から眼下に見る、島原市内や有明海、遠くは熊本や阿蘇までの景色はまさに絶景。
ミヤマキリシマの咲く5月や紅葉の季節は、さらに圧巻の大自然を体験できます。
仁田峠まで行く余裕のない方には、雲仙温泉街から車ですぐの「橘湾が見える展望所」も眺めが抜群でおすすめ。
今回は行けませんでしたが、夕日の時間帯にまた訪れたい場所です。
※ロープウェイと仁田峠循環道路は夕方以降の利用ができないので、ご確認ください。
雲仙温泉を堪能できる温泉旅館で「ととのう」体験を!
空の秋風で少し冷えた体で、予約していた温泉旅館「雲仙福田屋」へ。
今回予約したお部屋は、源泉掛け流し露天風呂と、なんとサウナ付き!
サウナ室内にはアロマ水とサウナストーンも常備されていて、気軽にロウリュサウナを楽しむこともできます。
熱めの温泉に浸かり、サウナもじっくり入って、まさに「ととのう」体験ができました。
福田屋では、併せて4つの大浴場も利用でき、いろいろな景色と温泉を楽しむ上質な時間が過ごせます。
福田屋のこだわりは食事にも。
料理長自ら畑で野菜を育てて、その野菜も提供されているのだとか。
いま雲仙はオーガニック栽培や伝統農法が盛んで、全国的にもホットな場所。
島原半島内の数軒の有機栽培農家から卸される野菜は、ひとくち食べて違いが分かるほど滋味豊かです。
お肉やお魚のメインだけでなく、繊細で旨味のギュッとつまった雲仙の野菜も主役級の美味しさでした。
二日目の朝は雲仙観光の新定番・ノルディック・ウォークでスタート!
翌日は朝7時から予約制で開催されているノルディック・ウォークへ参加。
地元の有志の方で行っている、このノルディック・ウォーク。
今回のガイドさんは、前日に訪れた松尾カメラ時計展 喫茶室のアキさんです。
集合場所はお山の情報館。アキさんにポールの使い方のレクチャーを受け、朝日をたっぷり背中に浴びながら歩き始めます。
白壁と赤茶の屋根が特徴的な雲仙温泉街の街並みを抜け、共同で利用している山水を横目におしどりの池方面へ向かいます。
途中にある民家のお宅の石壁からモクモク煙が沸いて、湯の花(4枚目)がびっしりとついているのにはびっくり!「突然煙の出る場所が変わってしまうこともあるんですよ」とアキさん。
実際に色の変わった壁に触れてみると、ほんのりあたたかく地熱を感じられます。
厳しくも豊かな自然とともに生きる雲仙の人の生活が少し垣間見えました。
少しずつ住宅地を離れると、今度は山野草の説明へと。
イタドリの花が紅くなることや、ヤマボウシの実(2枚目)は食べるとリンゴのようなこと(実際に食べてみました!)、ススキにも花が咲くことなどを教えてもらいながら歩くと、旅の思い出がより鮮明になる感覚がします。
おしどりの池へ到着したあとは、大黒天磨崖仏(3枚目)へ案内してもらいました。
巨石の中に大黒様の顔が掘られたパワースポットです。
いつだれが掘ったかはわからないとのこと。
「日によって表情が変わって見えるんです」とアキさんが話してくれました。
この日は少し柔らかい赤子のような笑顔にも見えました。
帰り道にはかきつばた公園(4枚目)を経由して。
こちらはなんと昔地獄が沸いていた場所。
ここに沸いていた地獄が旧八万地獄へ、そのあとまた現在の八万地獄へ移ったんだそう。
かきつばた公園は、いまでは緑で覆われてすっかり植生が回復しています。
変哲のない公園に見えますが、地球のエネルギーの循環が見られる雲仙ならではの公園でした。
PickUp
雲仙観光の大本命・地獄巡りで地球のエネルギーを体感!
宿をチェックアウトしてから、いよいよ地獄巡りへ。
清七地獄やお糸地獄、雀地獄など、場所によって名前が付けられた地獄は、昼も夜も変わらず煙と硫黄の匂いを立ち上らせています。
2021年8月豪雨で雲仙も大きな被害を受けたものの、今日も地球は生きていて、地獄は元気でした(2021年9月末訪問)。
一時はお湯が止まったという共同浴場・だんきゅう風呂もいまではまた街の人の憩いの場へと戻ったようです。
ぐるっと回って大叫喚地獄や邪見地獄、泥火山(4枚目)も。
泥火山のぽこぽこと泥が立ち上がる様子は、まるで生きた火山のジオラマ。
そこからすぐの足湯広場(8枚目)では、湯の花がたくさん浮いた雲仙らしい足湯を楽しめます。
地獄巡りのときは外せない温泉卵。
豪雨災害で、一時店を開けなかったという雲仙地獄工房。
いまは以前と変わらずほんのり硫黄の匂いがする温泉卵を大勢の観光客の方に提供していました。
併せて付けられる塩と一緒にいただくと、地球のエネルギーをもらって元気がみなぎってきます。
同じ場所で売られている雲仙レモネード(2枚目)も一緒に。
このレトロな瓶、かわいいなぁ。
地熱で骨抜きになった猫ちゃんがそこかしこに落ちているのも、雲仙らしい。笑
少し甘いものが欲しいときは、湯せんぺいの遠江屋本舗へ。
このソフトクリームと湯せんぺい、ほんとに美味しかったです。
今回は売り切れで購入できなかったのですが、近くのベーカリー・かせやカフェの「雲仙ばくだん」も有名なので、タイミングが合えば行ってみてくださいね。
見た目はカレーパンのようで、中には温泉卵がまるまるひとつ入った雲仙ばくだん。午前中には売り切れてしまうんだとか。買いたい方は早めが吉です。
お昼はお弁当を持って白雲の池でピクニック!
お昼は、雲仙福田屋で予約していた「お山の峠めし」を持って白雲の池へ。
白雲の池に付いたら、あえて遠回りしてぐるっと湖畔を歩いてみます。
落ちた枯れ葉や枯れ枝、木の実を踏む音。木漏れ日や、葉っぱが揺れる音、ときどき聞こえる鳥の声を、全身で感じながらの森林浴は最高のデトックスです。
一周してテーブルのあるところに着いたので、さて、お昼とします。
お山の峠めしの中身は、郷土料理の自転車飯(3枚目)や雲仙ハムのポークおにぎり、雲仙の種取り野菜で作られたお煮しめ、温泉卵など。
どこを取っても「雲仙らしさ」が詰まったお弁当は、この景色と相まって忘れられない一食になること間違いなしです。
前日の夜20時までに予約(0957-73-2151)、翌日昼受け取りが可能。
福田屋に宿泊していない方ももちろん利用できるので、自然を満喫できるピクニックスタイルはほんとうにおすすめです。
雲仙観光の新たな目玉スポット・雲仙焼の陶芸体験!
雲仙観光の締めは、雲仙焼の陶芸体験へ。
雲仙焼の4代目石川裕貴さん自ら、丁寧に手ほどきをしてくれるので、初心者の方も安心です。
石川さんは、これまで陶芸体験でたくさんの人に教えてこられたので、体の使い方を言葉で説明するのがとっても上手でした。
普段経験できない土のひやっとした感触や、土の厚さが指越しに伝わってくる感覚はまるで一種の禅体験のようで、究極のリフレッシュになりました。あっという間に終わってしまったのが名残惜しいくらい。
できたものは数が揃ってから焼き上げて、およそ3ヶ月後くらいに郵送してくれるそう。
いまから器を使うのがとっても楽しみです。
※陶芸体験はお電話(0957-73-2688)にて要予約。費用は一人3,000円(送料別)
体験のあとはギャラリーへと。
雲仙焼の3代目・石川昭さんが成功したという油滴天目(3枚目)を見せていただきました。
雲仙の火山灰を水に溶いた釉薬で、この模様が出来上がるそう。
焼き方で紺にも茶にも金にもなる油滴天目。
これは絶対に現地で本物を見ずには帰れないほどのもの。
ギャラリーでは、茶碗など購入できるものもあるので、おみやげにもいいですよ。
雲仙観光のおみやげは「ふくむすび」で上質の雲仙を持ち帰り
おみやげの購入場所は、福田屋一階にある「ふくむすび」へ。
旅館エントランスと入り口が違うので、宿泊客ではなくても入りやすい店構え。
店内はさながら雲仙のセレクトショップのよう。オーガニック栽培がさかんな雲仙の地産品を使った加工品がずらり。
わたしは無添加のジンジャーシロップと食べられる藍の葉の粉末、雲仙・長田製茶の和紅茶をお土産に持って帰りました。
自分だけのとっておきのお土産が見つかること請けあいなので、雲仙観光のときはぜひ訪れてみてくださいね。
雲仙を訪れるまでは豪雨災害の影響が少なからず心配でしたが、実際に回ってみると、雲仙温泉も雲仙観光も十二分に楽しむことができました。
雲仙温泉街のシンボルである地獄も、大部分で復旧工事がなされ、以前と変わりない様子に。
一時温泉が止まってしまったところも、営業を再開しているところがほとんどでした。
雲仙を支える不屈の底力の源は、何があっても変わらない地球のエネルギーなんだと感動しました。
秋の行楽シーズンは雲仙へ、ぜひ足を運んでみませんか?
この記事を書いた人
#ナガサキタビブ 部員(公式ライター)
メジャーどころからニッチな穴場までご紹介します!
長崎市琴海在住の主婦ブロガー。結婚を機に長崎県へ引っ越してきました。趣味はDIY、園芸、料理、登山・野山散策など。見逃されがちな「いい!」を県外出身者目線で発信します。