小値賀島のこと③ 活版印刷 晋弘舎 OJIKAPPAN
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掲載日:2019年11月21日
ライター:GO!GO!ともっち
長崎県・五島列島の北部 小値賀島の旅。
⇒ ⇒ 今回の旅の記事一覧はこちら「小値賀島のこと1~4」
明治後期から100年以上続く活版印刷所「晋弘舎」にお邪魔しました。
築200年ほどの建物に足を踏み入れると、インクの匂いが漂うなか、鈍い色した鉛製の活字が数万本ずらりと整列する光景にタイムスリップしたような気分になります。
明治時代に作られた活字もまだまだ現役。
これをひとつずつ拾って組み、たこ糸で固定して版を作るのだそうです。
横山さん父娘が営むこの印刷所では、三代目のお父さんが昔なじみの島のお客さん向けの印刷物を手がける一方、一度は島を出てUターンで戻ってきた四代目の桃子さん(写真)が「OJIKAPPAN」の屋号で島外向けの印刷物や体験・見学客などの対応などをしています。
お父さんの話によると、昔は町に一軒くらいは印刷所があったけれど、平成に入り印刷物のデジタル化が進んだため、印刷所は全国的に減少。
現在、離島では全国でもここ一軒だけになったのだとか。
こちらは50年ほど前の活版印刷機。
今でもお父さんが毎日油を挿しながら大切に使っているのだそうです。
昔の機械は丈夫ですね。
明治時代を中心に五島列島を代表する「商業都市」として栄えていた小値賀島。
ここ晋弘舎も、昔は印刷所だけでなく総合商社を営んでいたのだそうです。
第二次大戦後、戦災に遭わなかった小値賀島・晋弘舎では、空襲や原爆で焼けてしまった長崎市や佐世保市の印刷所の仕事も請け負っていたのだとか。
時代の流れとともに他の事業は廃止しましたが、「活版印刷は文化事業。社会貢献としてこれだけは残していこう」という先代の決意を、今も守り続けています。
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日本における活版印刷の歴史は、長崎から。
16世紀に天正遣欧少年使節団がヨーロッパからその技術を持ち帰り、現在の南島原市でキリスト教にまつわる書物を印刷・出版したことにはじまります。
その後、時は流れて江戸時代後期、出島に出入りしていたオランダ通詞 本木昌造が活版伝習所を開き、そこで学んだ後継者たちが全国に活版印刷の技術を広めました。
日本における活版印刷のはじまりの地、長崎県の端っこ 小値賀島では、令和の時代もその技術と想いが受け継がれています。
活版印刷体験
晋弘舎では、活版印刷でポストカードや小物入れを作る体験をすることができます。
所要時間は60~90分ほど。
「長崎しま旅わくわく乗船券」の体験クーポンが使えます。
桃子さんにアドバイスを貰いつつデザインを決めたら、ひとつひとつ活字を拾い、心静かに版を作成。
組版が完成したら動かないようにレンチでぎゅっと固定し、手動の小型印刷機で印刷します。
1~2回インクをつけたら、紙をおいて「ガチャン」。
体験では10枚のはがきを刷ることができます。
用紙の種類が色々あるので、選ぶのも楽しみ。
今回は全部色違い・素材違いの用紙に印刷してみました。
自然乾燥したら完成です!!
刷り上ったものを見ると、現代の印刷のようにまっすぐではなく、活版印刷特有の凹凸や「ゆらぎ」、インクの匂いなどが渾然一体となって独特の味わいを醸し出しています。
旅先からハガキを出してみるのも良いかもしれませんね。
秋から冬にかけては体を充電する時期。
フルスロットルで活動していた夏の疲れを癒してみてはいかがでしょうか。