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掲載日:2019年09月19日
ライター:GO!GO!ともっち
田川憲(明治39年~昭和42年)は、長崎にまつわる数多くの作品を残した版画家。
戦前は南山手に暮らし、上海・五島を経て再び長崎へ。
誰よりも深く長崎を愛した彼は、戦後の開発で変わりゆく居留地や解体される前の旧浦上天主堂などの「失われゆく長崎の風景」を、異国情緒あふれる版画作品として世に出したことで知られています。
また長崎県民の私たちにとっては、長崎土産として人気がある老舗洋菓子店「梅月堂」のクッキー「南蛮おるごおる」のパッケージや、カステラ元祖「松翁軒」の紙袋デザイン等で馴染み深い作家でもあります
先日、長崎を代表する観光地のひとつ「出島」のすぐ側にある田川の作品を常設するアートルーム「Soubi’56」にお邪魔しました。
現存する長崎最古のビルといわれる日新ビル1階の隠れ家のような一室。
「Soubi’56」は、田川憲が残した数多くの作品を所蔵管理する孫の田川俊さんとその妻・由紀さんが、田川の作品を多くの人に知ってもらう場として、また彼の作品を愛する人々の交流拠点として2018年1月にオープンした小さなアートルームです(閲覧無料)。
右)温かく迎えてくださったオーナーの田川由紀さん。
毎週日曜日は、由紀さんの夫で田川憲の孫である俊さんが在廊しています。
「Soubi」という屋号は、大浦天主堂にあるステンドグラスの「バラ窓」をモチーフにした田川の作品「十字薔薇(じゅうじそうび)の窓」が由来なのだとか(「そうび」は「薔薇」の音読み)。
(白いブラウスの2人は、長崎県庁にインターン生として来ていた女子大生たち。この日は初めての取材同行にワクワクしていたようです。)
「Soubi’56」で展示されているのは田川憲の作品1点を中心に、それに関連する手記などのみ(展示替えは2ヶ月に一度)。
大きな美術館とは違い展示点数を絞っているからこそ、オーナーに話を聞いたり、作品にまつわる手記を読んだりしながら1つの作品をじっくり鑑賞することができます。
田川のファンやゆかりの方がふらりと訪れて貴重な資料を寄贈したり、数時間話し込んでいくことも多いのだとか。
取材時には「蘭館(おらんだやしき)」という作品を中心に、それにまつわる手記など計3点が展示されていました。
奇しくもこのアートルームがある「出島」の地で江戸時代に行われていたオランダ貿易を題材にした作品です。
「当時の日本中の眼は長崎 ― それもこの出島という一点に凝集されていた」 (手記より一部抜粋)
田川憲は版画だけでなく多くの手記を残しています。
作品鑑賞とあわせて手記を読むと、作品の背景や込められた想いなどをより深く理解することができるし、なによりも田川が綴る味わい深い文章に長崎という街の奥深い魅力を感じることができます。
こちらは田川が制作に関わっていた長崎におけるタウン誌の元祖ともいえる「長崎手帖」(1956~1968年)。
創刊号から全て揃っていて、手に取って中身を見ることもできます。
昭和時代の長崎で流行っていたものやデパート広告など興味深いページも。
出島の小さなアートルームで田川憲の作品を味わうひとときは長崎らしく、とても贅沢な時間でした。
こちらは前出の長崎みやげ「南蛮おるごおる」(クッキー)。
異国情緒あふれるパッケージは田川憲の作品です。
PickUp
【Soubi’56】
〒850-0862長崎市出島町10-15日新ビル106
電話:095-895-7818
E-mail:tagawa921@kca.biglobe.ne.jp
開館時間:11:00~18:00
金・土・日のみOPEN(イベント参加のため休館の場合もあり)
※作品自体の販売はありませんが、オリジナルのポストカード、ブックカバーなどが販売されています。