歴史のまち平戸で現代アートの芸術祭が開催中
『ART SEEDS HIRADO 2021 平戸xオランダ 海を超えた芸術祭』
「colostrum (初乳)」 山本麻世
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掲載日:2021年11月12日
ライター:GO!GO!ともっち
かつて、長崎よりも先に、海外との貿易港として栄えた平戸。
その歴史的な町並みを舞台に、現代アートの芸術祭が開かれています。
平戸オランダ商館 開館10周年と平戸城のリニューアルを記念したイベントです。
作品を手がけるのは、かつて平戸に商館が置かれた「オランダ」にゆかりのあるアーティストたち。
彼らが作る「平戸の風土や歴史、土地や人々の記憶を辿り、場と強く結びついた作品」を、市街地をぶらぶら散策しながら楽しんできました♪
アゴ風の吹く場所
平戸オランダ商館の中庭には、オランダのナショナルカラーである「オレンジ色」が見た目にも鮮やかな、パビリオン「アゴ風の吹く場所」。
海風が運んでくる潮の香りを楽しみながら「はい、ポーズ」♪
平戸の秋は「アゴ(トビウオ)漁」の最盛期。
平戸の特産品として人気が高い「アゴ」は、この「アゴ風」に乗って日本海を南下してくるんですって。
かつてオランダ船は、この風を利用して平戸からオランダに向けて出港していたのだそうです。
平戸オランダ商館の2階には、平戸とオランダの歴史を遊びながら学べる巨大な「平戸双六」も。
「うにゅ~」っとコンニチハ。
オランダ商館の近くに連なる「オランダ塀」と呼ばれる古い石垣。
その間から何やら不思議なものが「うにゅ~」っとコンニチハ。
キリシタンの聖地 中江ノ島の岩場から染み出す「聖水」と、子育てにおける「初乳」のイメージをリンクさせた作品ということですが、
その正体は…なんと「黄色い靴下」!!
平戸が開港した当時、街外れの海岸に突き出すように作られたオランダ商館と市街地との間には「境界の塀」が設けられました。
現在も残るオランダ塀とその周辺は、風情ある散策スポットになっています。
PickUp
篠崎海産物店のオランダ塀
まちの日常に棲む、歴史の残り香
今回の取材で私が最も感動したのはコレ。
一見普通の商店…なのですが…中を覗くと「店内の壁が石垣!???」
なんとこの石垣も前述の「オランダ塀」の一部で、1610年代に築造されたものと考えられているのだとか(店内に平戸市教育委員会製作の案内版あり)。
「まちの日常に棲む、歴史の残り香」は、私の大好物。旅先で出会うとワクワクします。
へその緒
平戸のお殿様の屋敷跡「松浦史料博物館」入口の石垣階段の手すりに怪しく巻きつく作品。
タイトルは「へその緒」という意味なんですって。
まるで生きているかのようなパワーを放つその正体は、“使用禁止・立ち入り禁止”の文字が書かれた「赤いビニールテープ」。
中身を覗くと漁業で使用する「浮き」がちらりと見え隠れします。
「平戸の潜伏キリシタンとアニミズム」を表している作品なのだとか!
前述の「へその緒」を登った先。
松浦史料博物館の敷地内にある茶室「閑雲亭」には、こんなCOOLな立体作品が静かにたたずんでいました。
禅の庭のようなシンプルさ。眺めているだけで「無」になれそう。
このお茶室では、平戸・松浦家に伝わる武家茶道「鎮信流」のお手前で抹茶と平戸の伝統菓子をいただくことができます。
こちらは江戸時代初期、徳川家康から絶大なる信頼を受け、活躍したイギリス人「三浦按針(みうらあんじん/ウィリアム・アダムス)」の居宅跡といわれる、築300年の古い建物を活用した長崎県最古の和菓子店「蔦屋(つたや)」。
「按針の館」と名付けられた風情ある店内では、コーヒーを飲みながら、平戸銘菓「カスドース」や「ごぼう餅」をイートインすることもできますよ。
(写真をスクロールしてご覧ください)
⇒関連記事「三浦按針(みうらあんじん/ウィリアム・アダムス)ゆかりの地 平戸」
https://www.nagasaki-tabinet.com/blog/83
城下町を彩る鮮やかなアートたちが、いつもとは違う平戸の魅力を演出していました。
◆ART SEEDS HIRADO 2021 平戸xオランダ 海を超えた芸術祭
日時:2021年10月1日(金)~11月30日(火)
会場:平戸市内各所(平戸オランダ商館、平戸城域内、閑雲亭 (松浦史料博物館)、オランダ塀など)
入場無料 (平戸オランダ商館内展示のみ有料)
詳しくはこちら http://artseedshirado.com/
◆ナイトミュージアムも開催中
平戸オランダ商館は11月中、午後9時30分まで開館延長。
期間中はオランダ商館横の広場にあるパビリオンがライトアップされ、幻想的な雰囲気に。
また「HiradoArt Film Night アートフィルムと過ごす夜のオランダ商館」を同時開催。
3名の作家によるアートフィルムとポルトガル映画・オランダ映画を上映します。
夜の特別な商館をぜひお楽しみください。
上映作品と上映予定はこちら http://hirado-shoukan.jp/modules/events/?p=956
PickUp
編集後記
こちらは明治・大正・昭和初期から戦後の一時期にかけて各地に向けた小型の客船や荷船の発着所として使われていた建物。軒下にずらりと掲げられた表示地名は旧平戸藩領だった藩内各地の行き先を示しています。
建物の一階部分は待合所および商店、二階部分は船宿として使われていたそうですが、行き先表示を眺めていると、ここから発着していた船便の多さは目を見張るほど。
現在は平戸大橋で本土と繋がっている平戸島ですが、かつての平戸港の賑いに思いを馳せることで改めて海を介した交易の地であった歴史を実感しつつ、帰途に着きました。
この記事を書いた人
ともっち
2005年から続く長崎県公式観光ブログ「GO!GO!ともっち」の3代目ブロガー。
県内をくまなく取材し、地元ならではの「旬」で「通」な観光情報を発信しています。
趣味は「旅」と「猫」と「路地裏散策」。
長崎市出身の所謂「じげもん」で、眼鏡橋付近で遊んで育ちました。
学生時代の専攻は日本史。博物館学芸員資格あり。
PickUp
長崎県の「半島」特集-ながさきの『サキ』へ→
長崎の先端。長く突き出した岬。その岬に位置する長崎県の4つの半島。
長崎の〝先”には、歴史とロマンがある。雄大な自然に美味しい食。季節の花が、咲きほこる。―――新しい発見が待っている。