三川内焼 窯元めぐりと まちあるき (前編)
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掲載日:2021年05月17日
ライター:GO!GO!ともっち
(2019年2月ほかの取材を元に執筆しました)
かつて平戸藩の御用窯として皇室や将軍家への献上品ともなっていた三川内焼(みかわちやき)。
精巧かつ繊細で透き通るような純白の磁器とそれに映える上品な藍色(呉須・コバルト)の染付は、ヨーロッパの王侯貴族をも魅了したのだとか。
その高度な製作技術は、開窯から400年以上が経過した現代もなお、各窯元に代々「一子相伝」で受け継がれています。
佐世保市三川内町は、ハウステンボスや佐世保駅から車で20分ほどの距離にある、三川内焼の里。
風情あるまちなみを散策しながら、窯元めぐりを楽しむことができます。
※三川内焼は、2016年(平成28年)「日本磁器のふるさと肥前 ~百花繚乱のやきもの散歩~」として波佐見焼・有田焼など共に「日本遺産」に認定されました。
昔の窯場
三川内皿山の中心部、ひときわ目立つこちらは昭和初期の窯場。
味わいのあるレンガ作りの煙突が往時を偲ばせます。
平戸松山窯
三川内皿山の一番奥の坂を登ったところにある平戸松山窯にお邪魔しました。
三川内焼の陶祖のひとりである「高麗媼(こうらいばば・中里エイ)」を祖先とする由緒正しき窯元のひとつで、現在16代目の当主が伝統を守り続けています。
ギャラリーには唐子絵をはじめ、ハイレベルな技法で作られた美しいコバルトブルーの染付けの器たちが並んでいます。
また奥の和室では、窯元の方に直接お話しを伺いながらのゆっくりと器選を楽しむことができます。
三川内焼の代表的な絵柄である「唐子」を中心に、繊細な筆使いで描かれた青い波に吸い込まれそう!
(青海波唐子)
伝統的な「唐子」だけでなく、現代にも受け入れられる可愛らしい「創作唐子」も人気です。
愛らしい唐子の5客小皿は、光をあてると透けるほど薄く、繊細な美しさ。
絵柄が全て違うので、ひとつひとつ愛でるのが楽しい。
工房も見学させていただきました。
こちらは輪郭の中に絵の具を染み込ませる「濃(だみ)」という技法。
三川内焼の特徴のひとつで、筆を横にして呉須を器の面に溜めた上で流すように染み込ませていくことにより、滲んだぼかしに表情が生まれるのだそうです。
繊細な職人技に思わずため息。
ちなみに唐子の数は奇数で描かれるのが基本。
かつては、七人唐子は献上品、五人唐子は贈答用、三人唐子は一般用などと区別されていたそうです。
1300℃の高温の窯で長時間(18~20時間)焼いて酸素を抜くことで「焼き締まり」、輝くような白さと透き通るような薄さ、そしてコバルトブルーの染付けが映える美しい器になるのだそうです。
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二人の陶祖を祀る 二つの神社
◆陶祖神社・代官所跡
風情あるまちなみを楽しみながら坂道を下ると、三川内焼の陶祖のひとり 今村弥次兵衛(如猿・じょえん)を祀る陶祖神社があります。
磁器の技術を確立したとされる平戸藩御用窯の二代目である彼は、豊臣秀吉による朝鮮出兵の際に平戸藩主が朝鮮半島から連れ帰り、現在の平戸市中野で三川内焼(平戸焼)のルーツのひとつとなる「中野窯」を開いた陶工・巨関(こせき)の孫にあたります。
陶祖神社では「みかわち焼窯元はまぜんまつり(毎年5月初旬に開催)」の始まりを告げる神事「はまぜん供養(ろくろ細工実演)」が行われます。
陶祖神社の近くにある「代官所跡」は弥次兵衛(如猿)も暮らした今村家の屋敷跡で、当時の礎石が残っています。
白砂利が敷き詰められ、禅宗のお庭(枯山水)のようにスッキリとした美しさ。
◆釜山神社(天満宮に併設)
緩やかな坂を登った突きあたりにあるのは、三川内皿山の氏神様である天満宮。
その境内には三川内焼の陶祖のひとり、朝鮮出身の陶工・高麗媼(こうらいばば)を祀る釜山神社があります。
彼女も豊臣秀吉による朝鮮出兵の際に朝鮮半島から来日した陶工のひとり。
唐津の中里氏に嫁ぎ中里嫛 (なかざと・えい)と名乗り焼き物を作っていましたが、夫の死後 三川内に移住し、高度な技術を備え最初の御用窯となった「長葉山窯」を開きました。
技術の高さはもちろん、スラリとした美人で聡明な彼女は土地の人たちに愛されて100歳以上長生きしたと伝えられています。そのお墓には現在も花が絶えないのだとか。
緑に包まれたお社は、木々が囁くように揺れる音が心地よいパワースポット。
上まで登ると三川内のまちが一望できるそうですよ(今回は行けず)。
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・・・後編に続きます・・・
https://www.nagasaki-tabinet.com/blog/182
(2019年2月ほかの取材を元に執筆しました)
【参考資料】
広報させぼ(2018年2月号/佐世保市)
みかわち焼 窯場・窯元歩き公式ガイド/散策ガイド(2018年2月/佐世保市)