島原・天草一揆の舞台「原城跡」を海上から望むキリシタンクルーズ
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こんにちは!ともっちです。
キリスト教禁教政策の強化、そして鎖国のきっかけとなった島原・天草一揆 終焉の地「原城」 (長崎県南島原市)。
2018年 世界文化遺産に登録された『長崎と天草地方の潜伏キリシタン遺産関連』の構成資産のひとつ、「原城跡」を海上から望むショートクルーズを体験してきました!
掲載日:2020年03月13日
ライター:GO!GO!ともっち
【おさらい】島原・天草一揆とは・・・
1637年、領主の圧政に苦しんでいた島原・天草地方のキリシタンを含む農民2万数千人が、16歳の天草四郎時貞を総大将として武装蜂起。
最後には廃城となっていた原城に立てこもり88日間の籠城戦を繰り広げるも、総勢12万人の幕府軍に鎮圧された事件。
一揆後キリスト教禁教政策が強化され、「鎖国」へと歩みを進めるきっかけとなりました。
「で、なぜ海から見るの?」
と思うでしょ?
原城は三方を海に囲まれた丘に建つ要塞的な「海城」で防御に適していたため、農民一揆にも関わらず幕府軍は手こずり、なかなか陥落させることができなかったのだとか。
というわけで、原城の立地の特徴や一揆の際の海からの攻防戦の様子をイメージするには
陸(現地)とあわせて「海から見る」のが最適なのです!!
私自身、原城跡は何度も訪れたことがあるのですが、海から見ると目からウロコ。
「原城は海と陸の両方から見なきゃイメージが湧かない」といっても過言ではないかも。
そのくらい新鮮で多くの学びがありました。
海上・陸上ともに地元の歴史を知り尽くしたガイドさんが詳しく案内してくれるし、超おすすめです!!
プランは3種類
【Aコース】 船上 ガイド 税込4,200円(所要時間:約1時間)
【Bコース】 船上+原城跡 ガイド 税込4,700円(所要時間:約2時間)
【Cコース】 船上+原城跡 ガイド 昼食付 税込5,700円(所要時間:約3時間)
今回私はCコースを選択。
① 海から「原城跡」を見たあと
② 陸に上がり本物の「原城跡」を散策、
③ ランチをいただく
という満喫コースです。
① 船に乗って海から原城跡を遠望
ツアーの集合場所は原城跡近くにある「浦田漁港(原城遊漁船組合漁港)」。
受付を済ませたら遊漁船に乗り込みます。
島原半島の心地よい海風を感じながら地元に詳しい専任ガイドさんの案内で、島原・天草一揆終焉の地「原城」の歴史に思いを馳せる約40分間のショートクルーズがスタート!
この日案内していただいたのは、南島原ガイドの会「有馬の郷」の内山哲利さん。
遊漁船で原城跡のまわりをゆっくり周遊しながらガイドさんの話に耳を傾けると、一揆当時の様子をリアルに想像することができてワクワクします!!
磯の香りと春風が心地良い!!
三ノ丸跡付近の浦田漁港から出発した船は原城跡の敷地に沿うように進みます。
左端が本丸跡、右側が二ノ丸跡
ガイドさんの案内にあわせて、このあたりの海域に詳しい船長さんが至近距離まで船を寄せてくれるのでじっくり見学できるのが嬉しい。
本丸跡の裏手にぐるりと回りこむと、ゴツゴツした岩肌の地質までよく見えます。
ガイドさんの話によると海抜30mの小高い丘の上に建つ原城には、海に面した入口が3ヶ所あり、主にそこから物資を搬入搬出していたのだとか(それに対して陸に面した入口は1ヶ所のみ)。
また一揆当時、海岸から本丸に続くトンネルが掘られていたこともわかってきました。
海側から望むと立派な櫓門がそびえ立ち、ひときわ高い位置に建てられた天主は灯台の役割も果たしていたと考えられているそうです。
離れた場所に移動して全体を見渡してみましょう。
原城は三方を海に囲まれた丘に建つ要塞的な「海城」
ガイドさんの話によると、原城は南蛮貿易で莫大な富を得ていたキリシタン大名 有馬晴信がその全盛期に本拠地である「日野江(ひのえ)城」の支城として作った城。
築城の目的は、当時南蛮貿易が行われていた口之津(くちのつ)港から小舟で南蛮渡来の文物を運び込む倉庫として活用するためだったといいます。
その後、時は流れて1637年に勃発した島原・天草一揆の際に一揆軍が籠城先に選んだ理由は、防御に優れた「海城」だったから。
一揆の際、幕府軍は船を並べて海からも攻めてきました。
長崎奉行からの要請で出動したオランダ船からは大砲が地響きのような音を立てて放たれたといいます。
それでも一揆軍は原城の防御に優れた「海城」の利を活かし、12万人もの幕府軍を相手に88日間に渡り籠城戦を繰り広げることができたんですって。
つまり原城、そして島原・天草一揆について理解する上で重要なポイントは「海城」という立地的特徴。
だから船に乗って様々な角度から見てみるとその特長がよく分かるし、反対に現地で陸からだけ見ただけでは当時の様子をイメージしにくいのです。
※原城跡と主要ポイントとの距離
有馬氏の本拠地「日野江城跡」(写真右方向)から約3km、
南蛮船が着く「口之津港」(写真左方向)から約7km、
一揆の談合が行われた「湯島」(写真手前方向)から約7km。
全て当ツアーで船上から遠望することができます。
幻の島
ちなみに原城跡の沖合い約300m、この遊漁船のルート上に1km程の浅瀬があるのですが、こちらはなんと世界に3ヶ所しかない「リソサムニューム礁」という貴重な海洋生物(藻の一種)でできた島。
春から初夏にかけての大潮の時期にのみ海面に顔を出すので、タイミングが合えばこのツアーで併せて見学・上陸できるそうです!
1度で2度美味しい企画なのでぜひチャレンジしてみては?
珍しい海の生物に出会えるかも。
②陸に上がり「原城跡」を歩く
船を降りたらガイドさんと一緒に無料シャトルバスに乗って実際の原城跡に向かいます。
青い空の下、海に面した緑の丘陵をぶらり散策。
ここが世界遺産「原城跡」の一部だなんて信じがたいほ、のどかで牧歌的な雰囲気です。
(原城跡の敷地の4割は畑として使用されているのだとか)
《参考》原城跡に行くには原城温泉「真砂」から無料シャトルバスで。
(一日14便、一時間に二本程度運行)
ガイドさんの話によると、原城は「海城」という地の利のほか、多数の兵をスタンバイさせておくことのできる虎口(出入口)の空間が広く複雑で、より実戦的な造りになっているのが特徴だそうなのですが、有馬晴信の失脚後に廃城となった後、島原・天草一揆の籠城戦の舞台となった以外は実戦に使われたことは一度もなかったのだとか。
難攻不落の城が最初で最後に実戦に使われたのが農民一揆だなんて、なんだか皮肉な話ですね。
一揆のあと、原城は再び「キリシタンの巣」にならないよう徹底的に破壊されました。
そして「キリシタンは生き返る」と恐れられていたため、一揆参加者の遺体は首と胴体が切り離され、別々の場所に埋められたそうです。
こちらは当時の石垣。
一揆のあとに埋められ、数年前の発掘調査以前は地上に姿を現していなかったのだとか。
櫓台(天主)の跡地
さきほど海から見えていた一番高い部分にやってきました。
海抜30m、海に突き出た天主は灯台の役割も果たしていたとか。
向かい側には口之津港が見えます。
有明海を見つめる三体の石像。
見つめる先には、乱の首謀者たちが密談し一揆を起こすこと決めたといわれる「湯島」、別名「談合島」が見えます(右手のお饅頭のような島)。
こちらはガイドの内山さんおすすめの風景。
正面は雲仙普賢岳、右手に有明海が広がる美しくのどかなこの地が日本を揺るがした大事件の舞台だなんて、パッと見ただけでは想像もつきませんよね。
私は今まで、島原・天草一揆 終焉の地「原城跡」はキリスト教禁教政策の強化、そして鎖国のきっかけとなった歴史上重要な場所で、世界文化遺産の構成資産にもなっているけれど、教会などのように建造物もなく、その価値や魅力を理解しにくいなぁ…と思っていたのですが、
現地で地元の歴史に詳しいガイドさんに案内していただいたことで重要なポイントがよく分かったし、さらにガイドブックに載っていない地元の方だから知っている裏話(?)なども伺うことができ、大満足でした!!
③ランチ(Cコースのみ)
【Cコース】は原城跡の見学後に原城温泉「真砂」または 割烹旅館「城」の特別ランチ付き。
今回私が伺った割烹旅館「城」では、地元産の食材を中心としたお料理をいただくことができます。
メニューは地元食材をたっぷり使った郷土料理ランチ(左)または刺身定食(右)。
郷土料理ランチのメイン料理は「具雑煮」。
一説には島原・天草一揆の際、一揆軍の総大将であった天草四郎が農民たちに餅を兵糧として蓄えさせ、 山や海からいろいろな材料を集めて雑煮を炊き、栄養をとりながら88日間の籠城戦を戦ったときの料理がはじまりと言われています。
栄養バランスもよく、お出汁がとっても美味しい!
また具雑煮の斜め下の小鉢に入っている黒っぽい料理は、原城跡の近辺の限られたエリア(南島原市南有馬町)のご当地グルメ「ひょっつる」。
特産であるワカメの葉をゼリー状に溶かして細めんに加工したご当地麺です。
一説によると名前の由来は「ひょっ」と思い立ったときに「つるっ」と食べられるからなのだとか!
原材料はワカメ100%なので低カロリーでミネラルも豊富。
ポン酢だれでさっぱりいただきました。
特産のジャガイモで作った「南蛮コロッケ」は驚くほどホクホク!
甘めの味付けで小さいお子さんにもおすすめの味です。
刺身定食は、海に囲まれた島原半島らしい海の幸が中心。
特にタコとイカは透き通るほど新鮮でほんのり甘く絶品でした!
島原半島の心地よい海風を感じながら、島原・天草一揆終焉の地「原城跡」の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
~海上から原城跡を望む~ キリシタンクルーズ ≪日帰りプラン≫
【Aコース】船上 ガイド
税込4,200円(所要時間:約1時間)
【Bコース】船上+原城跡 ガイド
税込4,700円(所要時間:約2時間)
【Cコース】船上+原城跡 ガイド 昼食付
税込5,700円(所要時間:約3時間)
○ 1隻ごとに専属ガイドが同乗し、原城跡を詳しく説明。
○ 2名から催行。一隻あたりの定員は5名前後ですが、複数隻使用で40名まで受入可能。
○ 3コース共に島原・天草一揆の出土品や南蛮貿易について展示してある
「有馬キリシタン遺産記念館」の入場券付き。
原城跡はとても広く、目に見える遺構は主に石垣だけなので、
記念館とセットで見学するのがおすすめです!(原城から車で5分ほど)
世界文化遺産【原城跡】
所在地:〒859-2412 長崎県南島原市南有馬町
アクセス方法:
《車》 長崎空港、長崎市内からそれぞれ約100分
《バス》島鉄バス原城前バス停より徒歩15分
南島原ガイドの会「有馬の郷」
・地元ガイドがキリシタン史跡や遺物などについて分かりやすく案内します。
・また「原城跡総合案内所」では、土・日・祝日限定でワンコインガイド(500円/予約不要)を実施しているほか、各種パンフレットや「原城VR」用のタブレットの無料貸出を行っています。
※この記事の内容は2020年3月公開時のものです。